カーテン市場が大幅に減少 年々の減少傾向に歯止めがかからず・・・需要喚起・市場活性化策が急務である

日本インテリア協会発表の「2023年度市場規模の策定」によると、カーテンの市場規模は前年度対比6,7%減の950億円と大幅な減少となりました。カーテン市場は年々の減少傾向に歯止めがかからず、この10年間で、実に15,2%減、170億円の減少となっており、新たな需要喚起・拡大に向けた歯止め対策が急がれます。

1,この10年来のカーテン市場の動向と概要等

(単位;億円、(%)は表中の前年度対比。出所;日本インテリア協会の「市場規模の策定」より引用・作成)

 2014年度  2017年度(%) 2020年度(%)2023年度(%)
①カーテン1,1201,108 (98,9%)996 (89,9%)950 (95,4%)
②ロールスクリーン 238251 (105,5%)263 (104,8%)265 (100,8%)
③窓回り商品全体2,000 1,999 (99,9%)1,884 (94,2%)1,842 (97,8%)
④全体構成比 カーテン①/③56,0%55,4%52,9%51,6%
   ロールスクリーン②/③11,9%12,6%14,0%14,4%

2,カーテン市場はこの10年間で170億円の減少・・・  

この10年間におけるカーテンの市場規模は、2014年度の1,120億円から~2023年年度には950億円と170億円も減少しており、2023年度/2014年度対比で84,8%、15,2%の減少となっており、年々のカーテン市場の減少傾向に歯止めがかかっておりません。

国産カーテンの生産量の落ち込みは大きく、日本カーテン協会の調べでは2023年度は60,575千㎡、前年度比83,0%と大幅な減少となっており、年々生産量の落ち込みが続いており、カーテン産地への影響は大きなものがあります。

一方、ロールスクリーン市場においては・・・この10年間で市場規模を2014年度の238億円から~2023年度には265億円、11,7%増と年々市場規模拡大を図ってきています。

窓まわり商品市場全体に占めるカーテンの構成比は、2014年度の56,0%から⇒2023年度には51,6%と年々右肩下がりの落ち込みとなっており、このままでは2~3年後にはカーテンは50%を割り込むのではないかと推測されます。一方、ロールスクリーンは2014年度の11,9%から⇒2023年度には14,4%と年々構成比は増加しています。(上表参照)

3,カーテン市場減少の本質の原因は・・・

室内装飾事業を取り巻く経営環境は新設住宅着工戸数の減少や円安の進行、原材料価格の高騰等々、厳しい経営環境が続いていますが、これらはカーテン市場だけに限るものではなく、ロールスクリーン等も同様の環境下にあるわけであり、何故カーテンは年々減少傾向が続くのか・・・

当研究所の見立てでは・・・カーテン市場減少の本質の原因は『この10~20年間、カーテン市場においては、カーテン&カーテンレールによる、画期的で革新的な機構・機能開発やシステム開発が皆無であり、効果的な需要喚起・市場活性化策が打ち出せなかった』ということにあると考えています。

4,窓とカーテンの歴史の中でカーテンレールはエポックメイキングの役割を担ってきた

これまでの「窓とカーテン」の歴史の中で、カーテン市場の活性化、新たな需要喚起・拡大において、カーテンレールは節目節目で大きな役割、牽引役を担ってきたといえます。

『カーテンロッドからカーテンレールの時代へ』⇒『ダブルブラケット、ダブル付カーテーレールの普及・拡大により、ドレープ+レースのダブル付けカーテンが一般化し、広く普及・拡大の時代へ』⇒『装飾性レールや出窓専用レール、広幅ギャザーテープ等によるスタイルカーテン全盛の時代へ』⇒『木製レールの普及・拡大により、カーテン・カーテンレールが過去最大の売上市場へ』などなど・・・

カーテンレールは時々の時代の変化、要請に応え、市場を牽引し、エポックメイキング(epoch-making)の役割を果たしてきたといえます。しかし、木製カーテンレール以降のこの20年間、カーテン市場の新たな需要喚起・活性化に繋がる新製品の開発、市場投入は皆無に近く、今日に至っているといえます。

5,新たな機能性・装飾性を備えたカーテン&カーテンレールの市場投入、市場活性化へ

2030年のSDGs開発目標達成に向けて、室内装飾事業を取り巻く経営環境は大きく変化し、窓の省エネ・高断熱化が進み、消費者の嗜好や生活様式が様変わりしていく中にあって、窓辺はよりシンプルに、よりスマートに、よりサステナブルな装いなどなど、これまでにない機能が求められるようになります。

ロールスクリーン市場が上市以来、順調に市場規模拡大を図ってきた要因の一つに、調光機能や電動化商品の拡充や小窓対応等の機構開発や用途開発などなど、時代の変化や多様化するニーズにスピーディに応えてきたことがあげられます。  

カーテン、カーテンレールも、これまでのようにヒダを取ったスタイルや左右開閉機能にとどまることなく、新たな機構・機能付加型製品&システムによる、新たな装飾性と機能性を兼ね備えたカーテン&カーテンレールの市場投入、市場活性化策が急がれるところです。

『左右開閉+調光機能を兼ね備えた、調光カーテンレールシステムによる調光カーテンの市場投入や、窓辺をシンプルにスマートに装うドレイパーリーシステムレールの開発や、デザインプリーツテープやウエーブカーテンテープなどの副資材開発によるシンプルでスマートな装い方提案や、パネルスクリーンの良さを今一度見直し、軽量・シンプルタイプの新たなメカ・機構開発による「パネルカーテン」の投入等、カーテンファブリックスの持つ質感、優雅さを引き立てる新しい窓まわり商品として、需要喚起・拡大を図っていく』などなど、

多様化するニーズに対応した、新たな装飾性と機能性を兼ね備えた新製品の市場投入により、カーテン市場に「新たな風」を起こし、需要喚起・拡大を図っていきたいものです。

***「BLOG・インテリア余話」インテリア技術開発研究所*** 

 

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