インテリア関連:上場企業各社の2024年度『決算対比一覧』とセグメント業績の概況等 

インテリア関連企業の2024年度決算発表が出揃いましたので、「各社決算対比一覧とセグメント業績の概況等」としてまとめ、次の通りお届けいたします。各社2024年度(2024年12月期;2025年3月期)決算においては、建設コストの高止まりや人手不足による新設住宅着工戸数の伸びなやみ等、景気の先行き不透明な中での決算となったようです。

1,インテリア関連・上場企業各社の決算対比一覧

1)連結業績(単位:百万円)  

 決算期 売上高前年比営業利益前年比
サンゲツ 2025年3月期200,378105,5%18,17495,1%
東リ 〃105,709103,2%4,37687,9%
リリカラ         2024年12月期33,803103,2%150
タチカワブラインド 〃41,407100,2%4,361107,8%
トーソー 2025年3月期22,789105,5%746154,5%
ニトリホールディングス 2025年3月期928,950103,7%120,37294,2%

*SUMINOE(株)は2025年5月期決算につき未発表。

2)セグメント業績(単位:百万円)

   決算期    売上高  前年比営業利益前年比
サンゲツ・国内インテリア事業2025年3月期163,986103,0%18,94097,2%
東リ・プロダクト事業63,905102,4%2,94283,1%
リリカラ・インテリア事業2024年12月期24,24292,5%46
タチカワ・室内外装品関連事業34,835101,5%3,701106,2%
トーソー・室内装飾関連事業2025年3月期22,308105,5%715160,2%
ニトリHD・ニトリ事業2025年3月期821,019104,5%117,50894,0%
YKK AP(単体決算)443,084101,7%10,35158,7%

2,各社・セグメント業績の概況等・・・

■サンゲツ・国内インテリア事業・・・当社グループの持つ商品・デザイン・物流・施工機能を市場や地域、顧客のニーズに応じ、組み合わせて提供するソリューション提案活動が奏功し、各商品の販売が拡大した。調達コスト、物流費等の上昇を踏まえ、2024年12月に実施した価格改定は着実に浸透した。

<ユニット別売上高・構成比>

     ユニット区分     売上高    前年同期比(%)構成比(%)
壁装78,644101,8%47,9%
床材57,377101,8%35,0%
ファブリック9,609101,1%5,9%
デザインフィー・施工18,356114,3%11,2%
        合計163,986103,0% 100,0%

■東リ・プロダクト事業・・・プロダクト事業においては、当期に新発売した高付加価値製品を中心に販促活動に注力してきた。原材料価格の上昇等により、一部製品の上代価格改定(2024年12月)を実施し収益改善を図った。

ビニル系床材、カーペット、壁装材では全体の売上高は前年を上回ったが、カーテンでは住宅向けカーテン「フフル」、教育・医療施設向けカーテン「コントラクトカーテン」の販促活動に注力したが、オーダーカーテン需要が弱含みで推移した結果、カーテンの売上高は前年を下回った。

リリカラ・インテリア事業・・・5月に、戸建・マンション・新築・リフォームなど住まいの様々なニーズに対応するビニル壁紙見本帳「V-ウオール」等を発行したほか、壁装、床材、カーテン見本帳を増刷発行し拡販に努めたものの、住宅・非住宅着工数が低調であったことに加え、原材料費、労務費、物流費、エネルギー費等のコストが高騰するなど、非常に厳しい環境で推移した。

■タチカワブラインド・室内外装品関連事業・・・「安心・安全・快適・健康・環境」をキーワードに、多様化するニーズを的確にとらえた製品開発に努めてきた。木製ブラインドにおいては環境に配慮した国産木材を使用したスラット(羽根)や自然由来の塗料を使用した桐製スラット等を追加しリニューアルした。またリモコンやスイッチで簡単に操作できる電動製品『ホームタコス」を新たにラインナップし、充電式バッテリーを搭載した「バッテリー仕様」など、新製品の拡充に努めてきた。

「タチカワブラインド新製品発表会」を開催し、❝広がる彩り豊かな暮らし方❞をテーマに、新たな価値観や多様化するニーズに対応する新製品の訴求を図ってきたということである。

■トーソー・室内装飾関連事業・・・室内装飾関連事業においては、コアバリューである「WITH」をコンセプトに、壁紙やカーテンと合わせやすいロールスクリーンやバーチカルブラインドの生地の拡充を図った。新製品展示会「トーソーフェス」を全国19都市で開催したほか,「JAPANTEX2024」、JAPAN DIY HOMECENTER SHOW2024」等の展示会へ出展し、製品の拡販に努めた。

住宅分野の販売が前年を上回ったことや、非住宅分野での物件獲得や、東南アジア地域を中心とした海外販売が好調に推移したということである。

■ニトリHD・ニトリ事業・・・新たな商品開発により、お客様の欲しいを形にする「需要創造」をテーマに取り組んできた。販売促進策としては2200を期間限定値下げ価格で提供する「新生活応援キャンペーン」を実施。カーテンを変えるだけでお部屋が華やかに変わる「ジャガードカーテン」などの売り上げが好調に推移し、前年を上回る販売実績となった。

売上原価については円安の進行に起因する輸入コスト上昇の影響を受けたが、円安でも利益を確保できる商品を開発し、順次商品の入れ替えを進めている。物流施策としては川上から川下までの物流機能の全体最適の実現を目的とした物流戦略プロジェクトを推進し、DC拠点の最適配置と機能集約を進めているということである。

■YKK AP(単体決算・・・売上高においては、3省(経産省・国交省・環境省)連携補助事業により、内窓を中心としたリフォーム商品やビル改装分野の販売が伸長した。海外では北米、中国、台湾、インドネシアで販売が好調に推移したが、利益面では原材料・資材価格の高騰や販管費の増加等を販売増加、価格改定、製造コストダウン等で吸収できず、増収減益となったということである。

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