森林資源の循環利活用による『木製ブラインド・木製カーテンレールの材料調達から~製品化のあり方』について

2022,12,7に開催された日経SDGsフォーラム「森林、木材の利活用で実現する脱炭素社会」において、林野庁長官・織田 央氏、速水林業代表・速水 亨氏による基調講演がありました。これからの森林資源の循環利活用に関する大変重要な講演内容であり、内容を一部引用させていただきながら、『これからの木製ブラインド、木製カーテンレールの材料調達~製品化のあり方』について、次の通り述べさせていただきたいと思います。

1,持続可能な開発の重要性について(Sustinable Development)

「資源の持続性」と「環境の持続性」を考慮した節度ある開発が重要である。

ーーー1990年代の木製カーテンレール・ラミン材の教訓からーーー

1990年代はWT商品市場は全盛期を迎え、1996年度には新設住宅着工戸数は163万戸と2021年度対比で約2倍近い着工数となり、リビング等では木製レールがトレンドとなり、ラミン材の輸入は過去最高となりました。

ラミン材は低コストで、節がなく、色が白く、塗装が容易ということで、日本人の嗜好に良く合い、構造材を始めとして内装材や装飾材に多く使われ大量に消費されました。

一方で原産国であるインドネシアでは毎年150万~200万haの森林破壊が進み、2020年迄にカリマンタン島の森林は消滅するといわれ、2001年8月インドネシア政府はラミン材の伐採を禁止するに至りました。

これを機として、木製カーテンレールの需要は坂道を転がり落ちるかの如く,市場は冷え込んでいき、当時はSDGsの概念など希薄な時代であり、環境保全を考慮せず、経済合理性のみを追求した先進国のエゴそのものの結果といえます。

*** *** *** *** *** *** *** 

2,EGOから~ECOへ・・・これからの『住と木のあり方』について

基調講演の中で、速水代表は『「自然との共生」と「地域との共生」の二つの共生が重要であり、サステナブルであってこそのSDGsである』と述べられており、現行の木製レールや木製ブラインドにはバスウッド材やビーチ材など北米産の木材が使われており、カナダといえば「森林王国で北米材は永遠に大丈夫である」という思いが強いが、実はそうではなく、既に森林資源が枯渇してきている状況にあるとのことであり、今後は第2のラミン材とならないよう注視していく必要があります。

国産材の需要ということでは、官民挙げての持続可能な循環型の森林経営の取り組みが進んでおり、低層住宅における国産材の利用拡大は今後ますます増加していくものと考えられています。(林野庁によると低層住宅の木造率は約80%,使用木材の約50%が輸入材とのことである)

高層建築物においても木材利用が進んでおり、竣工済みではロイヤルパーク札幌大通公園(11階建)やプラウド神田駿河台(14階建)があり、計画中のオフイスビルでは東京海上・新本店ビル(20階建)や東京京橋の第一生命ビル(12階建)があり、今後木造のビルやホテル建設が増加するものと考えられます。

内装インテリアにおいても国産材の利用拡大・需要拡大が進むものと考えられ、これからの木製ブラインド、木製カーテンレールにおいては、森林資源と環境の持続性に配慮した材料調達~製品化がますます重要になってくるものと考えられます。

消費者のSDGsへの関心が高まり持続可能な地球環境や社会づくりに向けての企業責任が問われる中にあって、サステナビリティな経営姿勢やものづくりの「見える化」への取り組み強化が今後ますます重要になってまいります。

ーーーインテリア技術開発研究所「BLOG・インテリア余話」よりーーー