ロールスクリーン、ブラインド等「メカモノ」における今日的課題—提言その1

ロールスクリーン、ブラインド類の回収・分解・廃棄・リサイクル問題に如何に取り組んでいくか・・・サステナブル志向の社会にあって環境負荷低減はこれからの重要な経営課題であり、時代の要請であります。

◈ロールスクリーン、バーチカルブラインド等のスクリーン類は・・・この10年来、堅調に市場拡大を図ってきており、2021年度の繊維系メカモノであるスクリーン類+バーチカルブラインドの市場規模は438億円(対するカーテン市場は964億円)までに市場規模は膨らんできております。

しかし、毎年400億円を越える需要創造の片方では、数十億円相当量のロールスクリーン、ブラインド類の回収・分解・廃棄・リサイクル問題が顕在化しているといってもよく、ブラインドメーカーを始めとして、これら社会的課題に対して如何に取り組んでいくか・・・事業経営における環境負荷低減活動の一環としての本格的な取り組みがSDGs志向の時代の要請でもあります。

◈カーテンと違い繊維系メカモノは・・・「金属部+スクリーン部」で構成されており、回収・解体・廃棄・リサイクルは厄介な問題で、地域、自治体によって判断、扱いが異なります。ロールスクリーンやブラインドは概ね粗大ゴミとして扱われるケースが多く、大型サイズになると切断解体しなければならない自治体もあります。省エネ等金属蒸着加工の特殊スクリーンなどは不燃ゴミとして分類されるなど、地域や自治体によって扱いはまちまちで異なっています。

ロールスクリーン、ブラインド等「メカモノ」は埋立(一部は焼却)による廃棄が大半であり,3R(Reduce・Reuse・Recycle)への取り組み強化が今後の重要な経営課題である。

◈昨年のニトリの「カーテン回収キャンペーン」は・・・回収重量が380屯にもおよび、生地としてのリユースや断熱材へのリサイクルなど、サステナビリティへの取り組みは業界に大きな一石を投じ、話題となりましたが、スクリーン類やブラインド類、カーテンレールも同様、今後はリサイクルの対象となってくるかも知れません。近年、SPAの「ものづくり」はメーカーとの距離が縮まっており、専門店との差別化が難しくなっており、メーカー主導型の商品・サービスの提供・強化が求められるところです。

立川ブラインド工業の「サステナビリティ推進室」では・・・昨年11月「サステナビリティ推進室」が新たに設立されました。「環境に配慮した、持続可能な社会への貢献をめざし、積極的な事業活動を推進していく」ということであり、先の2022年12月期の決算発表の中では「温室効果ガス排出量を2030年度までに30%削減するという目標を定め具体的な取り組みを開始した」ということであるが、ロールスクリーン等スクリーン類やブラインド類の回収・廃棄・リサイクル問題への具体的な取り組みも期待したいところであり、「メカモノ」領域の環境負荷低減に向けて、ブラインドメーカー各社が牽引役となり、業界挙げての取り組みと具体的成果の実現が待たれるところです。

これからの「メカモノ」の開発設計は・・・カーテンの見本帳のあり方や2~3年毎の見本帳の回収、廃棄、リサイクル問題が社会問題化している中にあって、これからの「メカモノ」の製品開発に当たっては「回収・解体・廃棄・リサイクル」問題を開発要件として、基本設計の段階から織り込んでいくことが重要であり、環境負荷低減に配慮した「ものづくり」は時代の要請であり、企業価値向上に大きく貢献していくものと考えられます。

ーーーインテリア技術開発研究所「BLOG・インテリア余話」よりーーー