【折り返し点を過ぎたSDGs(その2)】・・・使用済みカーテン・ブラインド・スクリーン・カーテンレールの単純焼却・埋立処分量の削減と 「回収・分別・リサイクル」技術の確立に向けて(加筆改訂版)

SDGsの2030年開発目標達成に向けて、循環型社会の実現が重要な経営課題となっておりますが、インテリア業界においては使用済みカーテン・ブラインド・ロールスクリーン等の「回収・分別・リサイクル化」への取り組みが出遅れており、現状これら製品の大半は単純焼却・埋立処分されております。産業廃棄量の削減と資源の有効活用・リサイクル化は喫緊の重要課題(マテリアリティ)であり、社会課題解決に向けた取り組みを加速、強化していく必要があります。

1,主要各社の「カーテンの回収~リサイクル」の現況等(各社ニュースリリース、統合報告書等より引用・作成)

リサイクル 区分  カーテンの回収~リサイクルの現況等 回収(率)状況等
川島織物セルコン・ケミカル
・マテリアル
広域認定の取得。
「川島織物・リサイクルカーテンマーク」を付けた不要になったカーテンが対象。
新日本製鐵と提携したリサイクル
システムの導入(使用済みカーテンを
炭化水素油やガスなどの化学原料として
再生活用)
回収数量等の具体的
情報開示はなし
サンゲツ・ケミカル
・マテリアル    
・サーマル
サンゲツカーテン・エコプロジェクトに
よる。「サンゲツカーテンリサイクル
システム」のタグラベルがついている
カーテンが対象
累計実績
(2023年9月時点)
ケミカル 3,505kg
マテリアル1,500kg
サーマル 14,695kg
東リ・ケミカル
・マテリアル
広域認定にもとづくリサイクルの
実施。リサイクル専用ラベルが付いた
カーテンが対象,有料(家庭用は対象外)
リサイクル材料によるAJフックの
製品化。
回収数量等の具体的
情報開示はなし
ニトリ・マテリアル
*リユース
全店舗で、他社品を問わず、使用済み
カーテンの常時回収受付を開始中。
自動車の断熱材「フェルト」への
リサイクル。東南アジアのリサイクル
ショップでのリユース展開
累計実績
(2022年度~2023年11月)
重量累計930トン、持ち込んだ客数26万2千人。

注1):広域認定制度とは・・・製造、加工、販売等の製造事業者が廃棄物の処理を広域的に行うことを環境大臣が認定する制度であり、廃棄物処理に関する地方公共団体毎の許可を不要とする特例制度をいう。広域認定を受けた製造事業者は、行政の許可を受けることなく自社製品を回収、処分できることになります。(環境省)

注2):カーテンのリサイクル活用方法は・・・①ケミカルリサイクル・・・回収したカーテンの再資源化、繊維原料化する方法。②マテリアルリサイクル・・・回収したカーテンを他の繊維製品(フエルト等)に加工する方法。③サーマルリサイクル・・・回収したカーテンを固形燃料化して熱エネルギーとして利用する方法・・・に大別することが出来ます。 

注3):ブラインド、ロールスクリーン、カーテンレールについては・・・各メーカーからの使用済みブラインド、ロールスクリーン、カーテンレールの回収~リサイクルへの取り組み情報の開示はなし。現状は単純埋立・廃棄処分が全てと思われます。

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2,2030年に向けての企業責任と社会課題解決に向けて 

1)「つくる責任・つかう責任」等SDGsの2030年目標達成に向けて・・・

使用済みカーテンの大半は焼却・廃棄処分されており、コントラクトだけでなく一般家庭用カーテンも対象とした「カーテンの回収・リサイクルシステム」の構築と具体的成果の実現が急がれます。カーテンに限らず、近年大きく市場拡大を図ってきたブラインド、ロールスクリーン等メカモノにおいても「回収・分別・リサイクル」システムの構築が急がれるところです。

2)「つくる責任」において・・・ 

廃棄物自体そのものを減らす、不要になったカーテン,ブラインド等の単純焼却・埋立処分量の削減は喫緊の重要課題であり、これからは分別し易い、リサイクル容易な、資源循環型の製品の開発、技術開発が重要になってきます。

3)資源の有効活用による循環型社会の実現に向けて・・・

アルミ窓、樹脂窓等サッシ業界においては、東京大学、東北大学、富山大学との産官学連携による、アルミリサイクル技術の確立等に向けた取り組みが既に進んでおります。

インテリア業界も出遅れることなく、2030年のSDGsの開発目標達成に向けて、川上から川中、川下に至る全員参画型の取り組みによる資源循環型社会の実現をめざし、サステナブル志向時代の要請に応えていきたいものです。

***「BLOG・インテリア余話」インテリア技術開発研究所***