多様化するニーズと窓回り商品(Series-1)・・・窓回り商品の今後の方向性等~
2030年に向けて窓回り商品は大きな転換点(年)へ・・・サステナビリティ経営による持続的な成長戦略が問われる時代へ/窓辺の新しい装い方や新たな機能やスマートな暮らしぶりが求められる時代へ
1,2030年に向けて、室内装飾事業を取り巻く経営環境は・・・
2030年度の新設住宅着工戸数は野村総合研究所、矢野経済研究所の推計予測では74万戸時代へ(2022年度実績は86万戸、2022年度対比で△14%減)、着工戸数の10万戸超の減少は開口部・窓面積の大幅な減少となり、窓回り商品市場への影響は大きく、カーテン等窓回り商品の市場規模縮小やカーテン産地の生産量の落ち込みに直結致します。
2030年は、SDGsの開発目標達成の年であり、ZEH基準が義務化される年であります。メーカーや専門店、内装工事店等の皆様にあっては「サステナビリティ経営を通じた持続的な社会の実現に如何に貢献していくか、・・・環境や社会課題解決に向けての自社の成長戦略をどう展望・展開していくか・・・」が今まで以上に問われる時代になってくるものと考えられます。
窓はアルミ樹脂複合窓や樹脂窓、木製窓による「高断熱窓・遮熱窓」が普及・一般化し、「窓の更なる深化」とともに、窓回り商品市場の大きな転換点(年)となっていくものと想定され、働き方やお家時間の過ごし方など消費者の嗜好や生活様式が様変わりしていく中にあって『窓の新しい装い方や新たな機能やスマートな暮らしぶり』が求められる時代になるものと考えられます。
このような室内装飾事業を取り巻く経営環境の中で、多様化するニーズにどう対応していくか、難しい経営の舵取りが求められることになります。
2、多様化する住環境とニーズの中で、窓回り商品の今後の方向性等・・・
1)窓回り商品のこれからの「ものづくり」は、
商品企画・開発・設計段階から、環境配慮型・資源循環型製品の開発、製造が「ものづくり」の必須要件となり、リユース・リサイクル可能な商品・システムの提供が社会的責任として問われる時代となると考えられます。
YKKapの「成長のための事業戦略」の中では、2024年度には高断熱窓化率(戸建住宅)を90%、サステナブル商品の売上高を39,1%とする等々具体的な目標、数値が示されており、アルミ窓枠材の回収・溶解によるリサイクル事業の構築等具体的な経営目標が発表されております。
室内装飾事業のメーカー各社からも「中期経営計画」が発表されています。メーカーにおける事業戦略の根幹は「ものづくり」にあり、2030年に向けて、カーテン、メカモノは如何なる方向に向かうのか・・・具体的な方針や数値目標、政策課題等を明確にした成長戦略の実現が期待されるところです。
2)2030年に向けてー今後期待される窓回り商品の事例等
高断熱窓や遮熱窓が普及・一般化し、「窓の更なる深化」とともに、窓辺の装い方や機能も変化していくものと考えられ、窓の新しい装い方や新たな機能としては「よりシンプルに、よりスマートな方向」に窓回り商品は向かっていくのではないかと想定されます。
紙面の都合上、「窓回り商品の~これからの10年」については別の機会に取り上げたいと考えておりますが、この章では今後の広がり、需要拡大が期待される次の3つの商品領域について述べてみたいと思います。
◈ハイブリット・複合機能型窓回り商品は更なる市場拡大が期待される商品群である・・・
カーテンの美しさとバーチカルブラインドの調光開閉機能を兼ね備えた仮称「調光スタイルカーテン、又は調光開閉式カーテン」が好評で、窓回りだけでなく、住空間を美しく、スマートに間仕切る商品としても新たな広がりを見せています。スマートドレープシェード、スマートカーテン、バーチカルシェードと各社各様のネーミングで発売されていますが、
多様化するニーズの中で、複合機能型商品は今後が期待される商品群であり、これからはカーテン、ローマンシェード、プリーツスクリーン等においてもハイブリット・複合機能型商品の研究開発が進み、2030年に向けて更なる市場創造・需要拡大が期待される商品群にあげられます。
◈電動窓回り商品は今後の広がり、需要拡大が期待される商品群である・・・
「スマートハウス化・スマートホーム化」の流れの中で,IoTを主軸にした利便性、快適性、安全性など、スマートな暮らしぶりを追求した製品として、HEMSに対応した製品・システムの更なる充実等により、今後の広がり、需要拡大が期待される商品群です。
◈ウエーブスタイルカーテンの需要拡大に向けて・・・
カーテン、カーテンレール市場はこの10年来大きく市場規模を縮小しており、メカモノが大きく市場規模を拡大している中にあって、カーテン市場の立て直し、カーテン産地の活性化等は喫緊の経営課題となっております。
カーテン&カーテンレール市場の活性化・需要拡大策の一つとして、よりシンプルに、よりスマートな窓辺の装いとして、「ウエーブスタイルカーテン」があげられます。
素材の良さやデザインをいかした、シンプルで斬新なスタイルや、奥行き感のある美しいシルエットは、多様化するニーズの中で、今後の広がり、需要拡大が期待される商品であり、「ウエーブスタイルカーテン」という商品呼称で、積極的に市場(前面)に押し出し、需要拡大に向けた啓蒙、販促活動の強化を期待したいところです。
『手引き、コード式、電動、キット販売』と品揃えの充実を図り、ウエーブの山・谷をいかした複合機能の研究やレールメカ部の革新的な機構開発による「新生・窓回り商品」として・・・カーテン&カーテンレール市場の活性化に繋げていきたいものです。
◈◈◈窓回り商品のこれからは・・・サステナビリティ経営戦略にもとづく社会的課題の実現や環境配慮型・資源循環型の商品・サービスの提供が基本となり、従来の枠組みにとらわれない、新しい装い方や新たな機能、スマートな暮らしぶりが求められ時代へ、多様化するニーズ対応型の商品、ソフトの提供が求められる時代へ・・・なっていくものと考えられます◈◈◈
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