人と環境にやさしい窓回り商品<その1>・・・カーテン等窓回り商品の「回収~分別~リサイクル・再資源化」への社会的課題解決に向けて

上場企業各社から「統合報告書2023」が発表されております。各社ともマテリアリティ(重要課題)の中で「環境に配慮したものづくり」が掲げられていますが、持続可能な社会の実現に向けての重要課題の一つである、カーテン等窓回り商品の『回収~分別~リサイクル・再資源化』への社会的課題解決に向けて・・・現状とこれからについて次の通りお届けさせていただきます。

1,産業廃棄物の最小化、再資源化はサステナブル志向時代の要請である・・・

日本インテリア協会の「2022年度の市場規模の策定」によると、カーテン1,019億円+ブラインド類305億円+スクリーン類358億円+カーテンレール類219億円=合計1,901億円市場となっております。

1,901億円からなる窓回り商品市場の一方では、相当量の廃棄商品がリサイクル化・再資源化されることなく、単純廃棄・埋立処分されております。合せて、カーテンやロールスクリーン、ブラインドなどの大量の見本帳がリサイクルされることなく、焼却や埋め立てによる方法で廃棄・処分されており、一部メーカー等においては、マテリアルリサイクル化が進んでいますが、回収、リサイクル率は僅かであり、見本帳の回収・再資源化への取り組み、拡大が今後の重要課題となっております。

SDGs開発目標達成の年である2030年に向けて、これら産業廃棄物の最小化と再資源化は重要課題であり、社会的課題解決による持続可能な社会への貢献と企業価値向上は時代の要請であります。

2,開発、設計着手の段階からサステナブルな製品開発へ・・・

リサイクル率・再資源化率が問われる価値観の時代へ・・・これからの「ものづくり」は商品の企画・開発・設計着手の段階から「回収~分別~リサイクル・再資源化」を基本設計に織り込んでいくことが求められる時代となり、

例えば、樹脂成形品など、これまではバージン材料100%使用の商品が評価された時代から、限りある資源の有効活用によるリサイクル率・再資源化率が問われ、リサイクル・再資源化技術が評価される時代へと移行していくものと考えられます。 

3,「回収~分別~リサイクル・再資源化」への社会的課題解決に向けて・・・

ニトリグループにおいては・・・全国展開の店舗機能を活かした、不要なカーテンの常時受付・回収をスタートさせ、2022年度の回収実績は約510トン、協力いただいたお客様は約14万8000人となっており、不要になったカーテンのリユース・リサイクル化が着実に進んでおります。現段階ではロールスクリーン、ブラインド、カーテンレールは対象外となってはいますが、近い将来、これら商品も対象としたリサイクル構想が進んでいるかもしれません。

カーペット業界においては・・・去る11月1日、循環型経済社会の実現とリサイクルカーペットの普及・促進を目的として「日本リサイクルカーペット協会」が設立されました。会員企業はリサイクルカーペットの製造販売メーカーをはじめとして、デベロッパー、施工会社、産業廃棄物処理業者等で構成されています。

サッシ業界においては・・・リサイクルアルミを通じたサーキュラーエコノミー・循環経済社会の実現への取り組みが進んでおります。富山大学にアルミリサイクル技術の研究開発拠点「軽金属材料共同研究棟」が完成し,YKK APや三協立山等が参画した産官学共同事業として、アルミスクラップの回収・選別・精錬・加工まで、2024年1月から本格稼働をめざすことになっています。原材料であるアルミ新地金は100%輸入に依存している現状から、10年後には輸入地金の量を50%に減少掲げられています。掲げられています。

YKK APによると、市中のアルミ、樹脂窓のリサイクル基板を構築し、すでにアルミの社内リサイクルは100%を達成しており、社外リサイクルについても市中のスクラップ材の使用量拡大、再生地金の積極的活用を図り、アルミのリサイクル化を加速させていくということです。

窓回り商品であるヨコ型ブラインドのスラット部(羽根)やメカモノのヘッド部分、カーテーレールにも多くのアルミ材が使われておりますが、現状では使用されなくなったこれらアルミ商材は産業廃棄物として単純埋立処分されております。これらアルミの回収~リサイクルシステムの構築等、循環経済社会の実現に向けた取り組みが求められるところです。

インテリ業界においても・・・これまでの売りぱっなしから~商品本体・包装容器・見本帳に至るまで~「回収・分別・リサイクル・再資源化」システムの構築に向けて、川上/川中/川下の関係先企業がどう関わりあい、社会的課題解決に向けて取り組んでいくのか・・・「共同リサイクルセンター」の設立構想などなど、具体的な政策検討が急がれるところであり、持続可能な社会への貢献と企業価値向上が待たれるところです。

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