ロールスクリーン市場の活性化(その3)・・・サステナブル商品のタイムリーな市場投入と 提案力・情報発信力の強化
近年のロールスクリーンは一時期の勢いに陰りが見え、前年割れが続いております。 新設住宅着工戸数の減少等による影響はあるものの 近年の新製品発売は一部を除き話題性や市場の活性化に今ひとつ結びついていない状況が伺えます。新設住宅市場は70万戸時代を迎えるなど、室内装飾事業を取り巻く経営環境が様変わりしていく中で、ロールスクリーン市場が縮小することのないよう、市場活性化・需要拡大に繋がるタイムリーな新製品の投入やサービスの提供が求められるところです。
1,近年のロールスクリーンの市場規模動向(単位:億円)・・・
<表-①>
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 備考 | |
年度別市場規模 | 255,3 | 267,3 | 263,3 | 263,0 | 261,5 | |
前年比(%) | 101,8 | 104,8 | *98,4 | *99,9 | *99,4 |
<概況等>ロールスクリーンは1980年上市当初は3億円にも満たない市場でしたが、順調に売上を伸ばし、今や260億円市場を形成するまでとなりましたが、近年はその勢いに陰りが見え、前年を割り込む状況が続いております(表ー①参照)。
マーケットがこれ以上シュリンクしていくことのないよう、ロールスクリーン市場の活性化・需要拡大策が急がれるところです。
2、近年のブラインドメーカー主要3社のロールスクリーンの新製品発売状況等・・・
*対象期間は2021年4月~2024年2月末現在、各社製品情報等よりリストアップ。部品類・設計変更は除く。
<表-②>
2021年度 | 2022年度 | 2023年度* | |
タチカワ | ①透明スクリーン「クリアー抗ウイルス・抗菌」発売 ②ラルクシールドリニューアル | ①抗ウイルス・抗菌生地のラインナップ ②デュオレのラインナップ | ①調光ロールスクリーン「ルミエ」発売 ②新生地「マカロンラテ」発売 ③ホームタコスHEMSアダプタ発売 ④ホームタコスラルクシールド にブラック色追加 ⑤電動分岐ジョイント発売 |
ニチベイ | ①調光「na・na・ri」モデルチエンジ ②調光「Raiure」をモデルチェンジ | ー | ①ソルティタッチ遮熱新色追加 ②「ソフィ」ガイドレールタイプをリニューアル ③HEMS連動ELアダプタ発売 |
トーソー | ①ルノプレーン抗ウイルス発売 ②透明スクリーン「抗ウイルス・抗菌」発売 | ー | ①コルトシリーズのリニューアル |
概況等・・・直近3年間の主要3社の新製品発売状況は表ー②のとおりとなっております。
タチカワブラインドは毎年新製品を発売し、3社の中で新製品発売数は一番多く、同社の「統合報告書2023」によると、2021年度のスクリーン市場のシェアーは40%弱、業界第1位となっており、年々シェア拡大が進んでおります。これら要因の一つは、マーケットへのタイムリーな新製品の投入、仕掛けによる自社優位の戦略によるものといえます。
3,新製品の開発・市場投入はメーカーにおける核心部分である・・・
ロールスクリーンは廃柄・在庫リスクの問題や売上原価率が高い等々、収益力改善に向けた努力が求められますが、これらを理由に、開発投資や新商品開発・技術開発への取り組みが後退することのないよう願うところであり、新製品の開発・発売はメーカーにおける核心部分そのものであり、マーケットへのタイムリーな新製品の投入は経営上の重要な戦略であるといえます。
4,サステナブル商品の拡大・強化に向けて・・・
サステナブル志向社会の中にあって、産業廃棄物の再資源化やリサイクル素材の有効活用、植物由来素材や環境負荷素材の応用展開等々、リサイクル・環境配慮型製品の開発は時代の要請であります。
環境問題や社会問題に対する消費者の関心は年々高まり、SDGs活動を進める企業の商品やサービスを積極的に利用することが見込まれる中で、2030年までにはサステナブル商品化比率40%超を開発目標に設定するなど、商品の企画・開発・設計段階から環境に配慮した「ものづくり」に徹し、持続可能な社会の実現・社会貢献を果たしていくことが求められています。
2030年を期限とするSDGs開発目標の進捗状況において、『つくる責任・つかう責任は深刻な課題がある(Major challenges)』との評価であり、目標達成への出遅れ感が強いと判断されています。「Greenwashing=見せかけの環境配慮」に留まることなく、具体的成果の実現に向けての取り組みを加速していく必要があります。
5,自社・自店の強みをいかした提案力や情報発信力強化へ・・・
研究開発や技術開発による、これらサステナブル新製品のタイムリーな市場投入・発売はマーケットへの強力な提案力・情報発信力となり、消費者やマーケットを自社に向かせる、自社優位の戦略に直結していくものといえます。
ロールスクリーンは窓まわり商品の中では用途展開に優れた商品であり、窓辺の新しい装いや電動化によるスマートな暮らしぶり提案や、サステナブル商品の開発強化等々、自社・自店の強みをいかした提案力や情報発信力の強化を図り、ロールスクリーン市場の活性化・需要拡大に繋げていきたいものです。
***「BLOG・インテリア余話」インテリア技術開発******