大阪高裁にて「昇降式網戸の操作コードによる 女児の死亡事故に対し 5,800万円の賠償命令」・・・ブラインド類のチャイルドセーフティ部品の総点検と警告表示義務の徹底へ
去る2019年、昇降式網戸の操作コードで6歳の女児が亡くなった痛ましい事故に対し、本日(3月14日)、大阪高等裁判所にて「製品に欠陥があり、企業の製造物責任が認められる」として、メーカー、施工会社2社に対し、約5,800万円の賠償命令が出されました。
●新聞報道によると網戸はリフォーム時に取り付けられたものであり・・・
取り付け後3日目の事故でした。網戸の昇降コードにはチャイルドセーフティ部品として、子供の手の届かないところにコードを束ねておく、クリップを装着する方式になっていたものの、実際にはクリップが装着されていなかったことや、取扱説明書も同封されていなかったミスが重なったこと、又、リフォームの取付・施工時にコードの危険性について両親に説明することを怠ったとして、注意義務違反に問われたものです。
●ブラインド、ロールスクリーン類の操作コードの安全対策については・・・
1)製品上においては・・・JISA4811「家庭用室内ブラインドに付属するコードの要求事項ー子どもの安全性」として操作コードやチエーンがJIS規格で制定されています。
6歳未満の子供の身体寸法をもとに、手の届く範囲(高さ)に操作コードがないように束ねたり(コードクリップ方式)、一定の荷重がかかるとジョイント部分が分離する(セーフティジョイント方式)など、JISでは具体的な数値が設定され、規定されています。
市販されている各メーカーのブラインド、ロールスクリーン類の主なチャイルドセーフティは、これら「コードクリップ方式」や「セーフティジョイント方式」など、事故防止のための安全対策をとるようになっておりますが、今回の事故および高裁判決を機に、今一度製品上の安全対策について設計上、仕様上の不備はないか・・・総点検が必要と考えられます。
2)運用管理面で重要なことは・・・製品上においてはチャイルドセーフティ部品による安全対策がとられていたとしても、これら部品が製品の組立・出荷段階で間違いなく装着・同梱されているか、取付施工・引き渡し時にエンドユーザーに対し、操作コードの危険性と注意すべき事項についての説明、警告表示が徹底されているか・・・製品の出荷から~引き渡しに至る運用管理上の二重、三重の安全対策の徹底が求められることです。
店頭商品においては中国、東南アジアを生産拠点とする完成品輸入が増えています。ホームセンター等の店頭で消費者が完成品で購入していくケースであり、製品上および運用管理面において、操作コードの安全性や警告表示義務上の不備や徹底を欠くことはないか、今回の事故を機として、店頭商品の安全性の総点検が求められるところです。
●今回の高裁判決を受けて・・・
今回の事故は操作コードにコードクリップが装着されていなかったり、取扱説明書や取付施工現場での安全性の注意義務を怠ったりと・・・運用管理上の問題が大きかったものの、
これを機として、改めて、チャイルドセーフティー製品・部品類の安全性の総点検と運用管理の徹底、取付施工時の安全性の再確認等、痛ましい事故が発生することのないよう、事故防止の徹底が求められるところです。
***「BLOG・インテリア余話」インテリア技術開発研究所***