<大学発・知財情報(その2)>・・・京都大学「ガラスのように透明な高性能断熱材」の研究発表

京都大学発・・・ガラスのように透明で曲げられるエアロゲルー高性能断熱材の研究論文が国際学術誌「Nature Communications」で公開発表されました。この技術を利用して、高性能透明断熱材の工業化が可能になれば、人と環境にやさしい 省エネルギー材料として大いに期待され、「窓の省エネ・断熱化」が一段と加速されることになります。

●断熱窓、断熱窓ガラスによる「窓の超断熱化」が期待されます・・・窓の脱アルミ化が進み、アルミ樹脂複合窓や樹脂窓・木製窓の普及・拡大により、窓の省エネ・高断熱化が進んでおります。 

しかし、これまで透明な断熱材はなく、窓ガラスそのものの断熱には真空ガラスや不活性ガスを封入する方法しかなく、この度公開・発表された高性能透明断熱材の工業化・量産化が成功すれば、トリプルガラス以上の断熱性能が得られると言われております。価格的にもリーゾナブルなものになれば、新たな時代のSDGsに貢献する透光性断熱材として、広く利用可能になるものと期待されます。

これら技術は既に、京都大学発のスタートアップ企業であるテイエムファクトリ株式会社(本社茨城県茨城町)にて工業化への取り組みが進んでおり、サッシメーカーであるYKK AP社等も共同出資しております。

●2025年には全ての建築物・住宅は省エネ基準の適合が義務化されます・・・2030年にはZEH基準が義務化され、窓の高断熱化が新築住宅の標準となります。2030年に向けて、窓は樹脂窓・木製窓等断熱窓へ、更に高断熱透明ガラスの工業化が可能となれば、「窓の改革」「窓の省エネ・断熱化」が一段と加速されていくことになります。

これら窓の深化に、窓回り商品はどう応えていくか・・・これまでの窓回り商品の役割・機能の見直し、再構築による、窓辺の新しい装い方やサステナブルな住環境への貢献が求められる時代へ向かっていくものと考えられます。

●大学発「知的財産権」の有効活用と「産学連携」強化へ・・・ 当研究所は大学発・知的財産権情報をタイムリーにお届け出来るよう努めてきております。2030年に向けて、環境問題等社会課題が山積する中で、YKK APを始めとするサッシメーカー等他業界では「大学リエゾンセンター」との取り組みを強め、産学連携による自社の商品力や技術開発力強化に向けた活動が顕著になっております。

2030年に向けたSDGsへの取り組みは折り返し点を過ぎており、人と環境にやさしい、環境配慮型のサステナブル商品の開発や産業廃棄物の再資源化・リサイクル化技術の確立に向けて、インテリア業界も大学発の特許や知的資源の有効活用による「産学連携」の取り組みを強化すべきではと考えられます。

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