東京大学・日本サッシ協会 産学連携による「樹脂窓リサイクル」への取り組み状況等

東京大学と日本サッシ業界等において、産官学連携による「樹脂窓リサイクル」技術の確立に向けた取り組みが進んでおります。・・・インテリア業界においても、市中の不要になった窓回り商品の再資源化・リサイクル化等 社会課題解決に向けて、業界&メーカーが一体となった取り組み・強化が待たれるところです。

【1】東京大学・日本サッシ協会等による「樹脂窓リサイクル」構築に向けて

 <出所:樹脂窓リサイクル検討委員会の樹脂窓リサイクルビジョン、各社統合報告書等より引用・作成>

日本サッシ協会の調査によると、断熱性能に優れた「樹脂窓」は新築住宅で28,5%と年々増加傾向にあり、2030年に向けてアルミ窓は減少し、アルミ樹脂複合窓や樹脂窓の普及・拡大が見込まれる中で、市中の使用済み樹脂窓は大部分がリサイクルされず、埋立廃棄処分となっており、埋立処分量の削減、樹脂窓のリサイクル化は喫緊の社会課題となっております。

これら社会課題解決に向けて、産官学連携による「樹脂窓リサイクル検討委員会」が発足し、これまでにリサイクルシステムの社会実装実験等、システム構築に向けた取り組みが進められております。  

【樹脂窓リサイクル検討委員会】とは・・・委員長、東京大学大学院・新領域創成科学研究科 清家 剛教授;委員・・・LIXIL、YKKAP、三協立山、エクセルシャノン、不二サッシ; 事務局・・・日本サッシ協会、樹脂サッシ工業会、塩ビ工業・環境協会;オブザーバー・・・環境省、北海道庁 他

1)樹脂窓リサイクルのしくみづくりに向けて・・・

①回収のしくみづくり・・・地方自治体、解体業者等との連携による回収のしくみづくりの支援。

②効率的なリサイクル技術の確立・・・中間処理業者、リサイクル協力企業とともに、分離回収、異物除去等の技術開発支援による、リサイクルシステムの実装化をめざす。

③リサイクル・環境配慮型製品の開発・・・ハウスメーカー、工務店、樹脂窓メーカーとの共同で、再生材を用いた樹脂窓等のリサイクル製品の開発、易解体構造化など環境配慮設計の促進等

④樹脂窓リサイクル量の目標・・2030年までに工場内で発生する端材の再利用・再資源化+市中の使用済み樹脂窓の回収分、合計で10,000トン/年の再生材活用をめざす。

2)YKK AP(株)の発表によると・・・

他社製品も含めた使用済み樹脂窓由来の再生原料を利用した「マドtoマド」リサイクルによる商品の2024年度中の実用化をめざすとなっており、「環境負荷ゼロを実現」に向け、業界一体となって取り組みを加速させていくということです。

3)サッシ業界では2030年度に向けたSDGs開発目標達成が見込める段階である・・・

市中の使用済みアルミ窓については、2030年度までにアルミリサイクル率100%達成を目標に、富山大学とYKK APを始めとするサッシメーカーによる取り組みが進んでおります。

これら取り組みの結果、サッシ業界においては使用済みアルミ窓や樹脂窓の埋立処分量の削減、リサイクル技術の確立等、2030年度に向けた具体的な成果の実現、SDGs開発目標達成が見込める段階にきております。

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【2】カーテン、ブラインド等窓回り商品においても,業界・企業が一体となって

1)使用済み窓回り商品の大半は単純焼却・埋立処分である・・・主要メーカー各社の環境・社会課題解決に向けた取り組みでは「サーキュラーエコノミー社会の実現、産業廃棄物の再資源化、環境に配慮した製品開発や企画・設計段階から再資源化を見据えたものづくり」がマテリアリティ(重要課題)として掲げられており、

一部メーカーにおいては、カーテンのケミカルリサイクル・再資源化への取り組みが進められてはいますが、対象、効果は限定的であり、市中の不要になった、使用済みカーテンの大半は単純焼却・埋立処分されており、社会課題解決に向けた取り組みが急がれます。

2)使用済み窓回り商品の単純焼却・埋立処分量の削減、リサイクル化に向けて・・・日本インテリア協会の「WT市場規模の策定」によると、2022年度のWT商品市場はカーテン1,019億円、ブラインド305億円、スクリーン358億円、カーテンレール類219億円、合計1,901億円となっておりますが、毎年これら市場規模に見合う、相当量の使用済み窓回り商品の大部分が単純焼却・埋立処分となっており、

2030年度のSDGs開発目標達成に向けて、インテリア業界においても出遅れることなく、カーテン、ブラインド等使用済み窓回り商品の単純焼却・埋立処分量の削減、産業廃棄物の再資源化・リサイクル化等、業界およびメーカーが一体となった取り組みが待たれるところです。

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