月: 2023年1月

リノベーション住宅市場のビジネスチャンス拡大に向けて(改訂版)

SDGsの観点からサステナブル志向の消費者が増え、これまでの新築願望から~既存住宅の機能や利用価値が再認識され、新たなライフスタイルや住環境に合わせた、「リノベーション住宅市場」がこれからの成長分野として期待されております。

1,新設住宅着工戸数は年々減少傾向にあり・・・国土交通省発表による2022年11月の着工戸数は7万2,327戸、季節調整後の年率換算では83万8,000戸(▲3,7%減)となっています。室内装飾事業における主要な経営指標である新設住宅着工戸数は、野村総合研究所等による中長期予測では70万戸から~60万戸台まで減少する見込みとなっております。新設住宅の減少は開口部(窓の面積)への影響が大きく、カーテン等窓回り商品の取付機会ロスが大幅に増加し、業績への影響は大きく、これまでの新築需要依存のビジネスモデルの見直しが必要となってきます

2,既存住宅流通市場のこれから・・・ 野村総合研究所によると「既存住宅流通市場は、今後緩やかに増加し、2030年には19万戸まで上昇する」と予測されています。インテリア商品等の購入を含めた広義のリフォーム市場規模は、新型コロナ禍にあってもほとんど影響を受けることなく微増ないしは横ばい傾向が続いており、2040年までは年々拡大基調にあるとされています。既存住宅市場は2018年の16万戸から2030年には19万戸まで上昇すると予測されております。

新設住宅着工戸数が年々減少する中にあって、住宅業界は官民挙げて「新築重視」から~「新築も既存住宅も重視」する体制へ移行しているといわれており、リノベーション住宅市場における新たな機能や価値の向上等への取り組み強化がこれからの重要な経営課題といえます。(出所:数字はNRI JOURNALより引用)

3,リノベーション住宅市場のビジネスチャンスの拡大強化へ・・・新築願望からサスティナブル志向の消費者が増え、既存住宅の機能や価値が再認識されてきており、中長期的にはリノベーション住宅市場はますます拡大していくものと予測される中にあって、

窓装飾事業においても、これらリノベーション市場のトレンド、動きに乗り遅れることなく、如何に関わっていくかが重要な経営課題であり、多様化する顧客ニーズに寄り添った「顧客価値創造の時代」へ・・・リノベーションによる新たな窓の装いや暮らし文化の提案等、情報発信力の強化が求められるところです

ーーーインテリア技術開発研究所「BLOG・インテリア余話」よりーーー

     

脱炭素社会の実現に向けてー非住宅木造市場への取組み強化へ

脱炭素社会の実現に向けて、企業のSDGsやESGへの取り組みが本格化する中にあって、非住宅市場においては、これまのSRC構造から~SRC造+木造の組み合わせによるハイブリット構造のオフィスビルやホテル等の商業施設の建築が増加してくるものと予測されます。

◈矢野経済研究所によると・・・非住宅木造市場は新型コロナやウッドショックの影響から回復基調に転じ、2022年度の非住宅木造市場規模は床面積ベースで前年比102,1%の3,600千㎡、工事費予定額ベースで102,5%増の6,100億円と予測されております。2025年度には床面積ベースで124,8%(2021年度比)4,400千㎡、同工事費ベースで129,4%増の7,700億円迄拡大すると予測されており、環境負荷軽減に大きく寄与する非住宅木造建築物は今後ますます増加していくと見込まれています。

◈高層建築物への木材利用の竣工事例では・・・札幌大通公園のロイヤルパークキャンパス(11階)やフラッツウッズ木場(12階)があります。計画中では東京海上グループの新本店ビル(20階)や第一生命ビル・京橋(12階)など、令和5年以降多くのオフィスビルや商業ビル建設が計画されており、これからの非住宅木造市場は森林資源の循環利活用による国産材の需要拡大・利用促進がますます進むものと考えられます。

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◈非住宅市場の木材化・木質化の市場拡大の中にあって・・・窓回り商品は如何に対応していくか、販売&商品戦略の再構築が問われるところです。非住宅市場向けハイスペック・高機能スクリーンの開発強化や、木製品においては木の持つ温もり感や高質感、高い断熱性や調湿性等を訴求した、環境に優しい「本物指向商品」の強化や、防炎ということでは現行の木調樹脂製ブラインドでなく,木製スラットそのものの防炎加工技術の確立による木製ブラインドの開発が求められるところです。

現行の木製ブラインドは消防法で定める高層建築物等に取付・使用が義務づけられる「防炎物品」ではなく「防炎製品」の扱いとなっていますが、天然木100%の「防炎製品・木製ブラインド」として、安全安心を持って非住宅市場に提案・提供出来るよう願うところです。

◈新設住宅需要依存の経営体質からの転換・・・新設住宅着工戸数は年々減少傾向にあり、窓の形状と窓回り商品の相性変化や消費者のライフスタイルの変化等、室内装飾事業を取り巻く経営環境が大きく様変わりしていく中にあって、新設住宅需要依存のビジネスモデルから⇒これからは「非住宅木造市場」や「リノベーション住宅市場」の攻略、販路開拓がますます重要になってくるものと考えられます。

ーーーインテリア技術開発研究所「BLOG・インテリア余話」よりーーー