月: 2023年5月

令和5年度の「住宅エコリフォーム事業」がスタート;内窓設置や外窓交換における窓回り商品の取り替え需要の喚起・拡大へ

国交省による「令和5年度の住宅エコリフォーム事業」の申請受付が令和5年5月26日からスタートいたしました。内窓設置や外窓交換の断熱改修工事の機会を捉えて、カーテンやロールスクリーン等の取り替え需要が期待出来、新たな窓の装い方提案や窓の電動化など窓回り商品の需要拡大への好機といえます。

1)事業の目的・概要等・・・・

「カーボンニュートラル実現に向け、住宅ストックの省エネ化を推進するため、住宅をZEHレベルの高い省エネ性能へ改修する取組みに対して、期限を区切って国が直接支援を行う事業である」とされています。

2)対象となる「開口部の断熱改修(部分改修)」について・・・

改修後の開口部の熱貫流率が一定の基準値以下(ZEH仕様基準)となる断熱改修が対象となります。戸建て住宅やマンションの内窓設置や外窓交換が支援の対象となり、窓1箇所につき最大で99,200円が補償されるという事業です。YKKapによると樹脂窓を中心とした「開口部の高断熱化」需要が好調とのことで、この度の「住宅エコリフォーム事業」で内窓設置や外窓交換需要が一段と加速するものと考えられます。

3)内窓の美しい装い方や電動化等窓回り商品の需要喚起・拡大への好機である・・・

断熱改修工事と合せて、カーテンやカーテンレール、メカモノの取り替え需要が期待でき、サッシメーカー等の動きとコラボして、「新たな窓の装い方提案」や内窓設置による断熱機能の強化とあわせて、窓回りの電動化等スマートな「暮らしぶり提案」など、窓回り商品の需要拡大への大きなビジネスチャンスとしたいものです。

◈◈◈先の2023,4,9配信済みの「先進的窓リノベ事業における断熱窓や内窓施工は窓回り商品の需要喚起・拡大への好機である」もあわせて参照ください◈◈◈

***インテリア技術開発研究所「BLOG・インテリア余話」***

上場企業各社の『2022年度決算概況一覧』と経営成績の概況等

上場企業各社の2022年度決算発表が出揃いましたので、「決算概況対比一覧」にまとめ、お届けします。2022年度の住宅着工戸数は86万828戸、前年同期比0,6%の減少と、この10年間で下から2番目に低い着工戸数となっており、円安傾向や原材料価格の高騰等、室内装飾事業を取り巻く経営環境は先行き不透明感が続く中での・・・各社決算発表となったようです。

1,上場企業各社決算対比一覧(連結)

決算期 売上高前年比(%)コロナ前比(%)営業利益備考
サンゲツ2023年3月期   176,022  117,8 109,2 20,280
東リ2023年3月期   95,230 107,6 101,6 3,531
リリカラ2022年12月期    33,253 1,622
立川ブラインド2022年12月期   41,296 100,1 98,2 3,822
トーソー2023年3月期   21,298 102,1 93,9 719

注・単位:百万円。

・コロナ前比(%)とは新型コロナ前の2019年度対比で、売上高の回復状況を表す。

・リリカラは収益認識に関する会計基準等を当事業年度の期首より適用のため、対前期増減率の記載なし。

・住江織物は2023年5月期決算のため、発表は7月となります。

2,経営成績の概況等(決算短信等より引用・作成

サンゲツ

①連結決算は・・・176,022百万円(前年比17,8%増)、営業利益20,280百万円(前年比154,8%増)となった。

セグメント業績・インテリアセグメントでは・・・壁装事業においては住宅向け量産壁紙「SP」や、非住宅向け不燃認定壁紙「FAITH」等が好調で、売上高は73,503百万円(前年比17,9%増)と大幅に伸長した。床材事業においても住宅、非住宅で幅広く使えるビニル床タイル「フロアタイル」等の売上が好調で、床材売上高は52,154百万円(前年比10,5%増)と伸長した。ファブリック事業ではカーテン市場全体に縮小傾向が見られ、厳しい環境となったものの、カーテン見本帳「ストリングス」が売上を牽引した。新見本帳「AC」においては上代価格の改定を行い、収益性の改善を図った。ファブリック事業の売上高は9,514百万円、前年比10,5%増の売上となった。

以上より、インテリアセグメントにおける売上高は141,949百万円(前年比15,4%増)、営業利益20,504百万円(前年比125,4%増)と大幅に伸長した。

東リ

①連結決算は・・・売上高95,230百万円(前年比7,6%増)、営業利益3,531百万円(前年比302,2%増)となった。

②セグメント業績・プロダクト事業では・・・売上高57,971百万円(前年比10,3%増)、セグメント利益2,344百万円(前年比334,8%増)となった。新商品を中心としたプロモーション活動の強化と5月以降の販売価格改訂に注力した結果、売上高は大幅に伸長した。利益面では製造原価低減活動等により収益改善が進んだが、原材料価格の高止まり等予断を許さない状況が続いている。カーテンでは10月に発売した医療・福祉施設向け「コントラクトカーテン」について、回復基調にある医療福祉市場に向けた販促活動を強化したが、・・・カーテン全体の売上高は前年を下回る結果となった。ビニル系床材、カーペット、壁装材は好調で前年を大幅に上回る売上高となった。

リリカラ

①連結決算は・・・売上高33,253百万円、営業利益は1,622百万円(前年比206,3%増)となった。

②セグメント業績・インテリア事業では・・・2021年12月期から~2023年12月期までの中期経営計画[daaS・ダース」による新たなビジネスチャンスの取り込みと事業構造の変革に取り組んできた。インテリア事業においては、壁装材は全物件向けの準不燃・不燃ビニル壁紙見本帳「ライト」を発行。床材では見本帳「クッションフロア」を発行したほか、カーテンでは見本帳「アンドタイム」、「サーラ」を増刷発行し拡販に努めた結果・・・売上高は27,339百万円、セグメント利益1,679百万円(前年比274,5%増)となった。

立川ブラインド工業

①連結決算は・・・41,296百万円、営業利益3,822百万円(前年比16,1%減)となった。

②セグメント業績・室内外装品関連事業では・・・生活様式や働き方が大きく変化する中、多様化するニーズに応じたより安心・安全で快適な住空間づくりをめざし、顧客満足度の高い製品の開発、及び新製品の市場浸透に注力してきた。スマートで便利な暮らし提案としての「住宅向け電動カーテンレール」や、プリーツスクリーンのリニューアルやハニカムスクリーン等、窓回りの断熱による省エネ効果に優れた新製品を投入した。10月には調光ロールスクリーンのリニューアルや電動木製ブラインド「フォレティア電動」のラインアップ拡充を行い、新製品の市場導入により需要の活性化を図ると共に、対面とオンラインを使い分けた販促活動による市場浸透に努めてきた。・・・売上高は34,000百万円(前年比0,7%減)となり、営業利益についてはコスト低減活動や一部製品の価格改定等の収益改善に努めたが、3,279百万円(前年比18,1%減)となった。

トーソー

①連結決算は・・・売上高21,298百万円(前年比2,1%増)、営業利益719百万円(前年比8,3%減)となった。

②セグメント業績・室内装飾関連事業では・・・新製品の発表に加え、「トーソーウインドウファッションフェア」や,[with Curtains」のイベント開催等営業活動の強化を行った。非住宅分野や海外での販売が前期を上回ったことや、カーテンレールの価格改定の寄与もあり、・・・売上高は20,860百万円(前年比1,9%増)となり、セグメント利益は原材料の高騰や営業活動費の増加等が影響し、702百万円(前年比8,7%減)となった。

3,各社決算と新型コロナ前のWT商品市場の回復状況等・・・

①新型コロナ前の2019年と2021年度のWT商品市場の回復状況は・・・カーテンは2019年度の1,030億円から⇒2021年度は964億円、2019年度対比で93,6%、カーテンレールは同205億円から⇒192億円、2019年度対比で93,7%とコロナ禍前との乖離が大きい状況が続いております。一方、メカモノはブラインド類(ヨコ型+タテ型)が102,3%、ロールスクリーンが98,1%の市場回復となっています。(数字はNIFの「市場規模の策定」調査報告より引用・作成)

②壁装、床材における新型コロナ前の同市場回復状況は・・・壁紙が101,8%,プラスチック系床材が106,9%の市場回復となっております。

◈◈◈2022年度の各社決算においては・・・カーテン、カーテンレール市場と壁装、床材市場の回復状況の違いが各社決算に影響したものと考えられます。カーテンはこの10年来、年々市場規模を縮小しており、2011年度の1,094億円から⇒2021年度は964億円、2019年度対比で88,1%と、実に130億円もの市場規模縮小となっています。

メカモノが大きく市場規模を拡大してきた中にあって、カーテン市場縮小への歯止め対策やカーテン産地の活性化は喫緊の経営課題であり、業界挙げての取り組みが求められるところです。・・・これまでの「BLOG・インテリア余話」の中でも再三にわたって問題提起させて頂いておりますが、改めて次回以降において、カーテン市場の活性化問題等を取上げていきたいと考えております◈◈◈

ーーーインテリア技術開発研究所「BLOG・インテリア余話」よりーーー

  

続報:ニトリグループが『カーペット・敷ふとん」のリサイクル回収を期間、地域限定で実施中

ニトリが4月28日(金)~5月31日(水)の約1ヶ月間、神奈川県内の27店舗で、「カーペット・敷ふとんのリサイクル回収」を実施、展開中です。

ニトリグループは「ごみを出さない・ごみを減らす・ごみを資源に回す」ことをめざし、廃棄物の排出自体を減らすとともに、排出後においても埋め立て・単純焼却処分といった資源化されない廃棄物の削減に努め、排出前・排出後の両輪で活動を推進していくということであり、

カーテンの回収~リサイクル化とともに、今後は全国展開に向けた環境負荷低減活動をめざしていくものと考えられます。

◈先の2023年4月2日の投稿分です。併せてお読みください。

ニトリグループが「カーテン回収~リサイクル化」につづき、「カーペット・敷きふとんの再資源化」する仕組みを構築!

ニトリグループは(株)タケエイ、住友大阪セメント(株)3社協業での実証試験により、「カーペット・敷ふとん」を再資源化する仕組みを構築し、「資源をひとつも無駄にせず、ゴミを出さない」取り組みが可能になりました。

ニトリグループは、これまでカーテンのリユース化や断熱材へのリサイクル化、羽毛布団の再製品化と、顧客直結・地域密着型による資源の有効活用と循環促進に取り組んできておりますが、この度神奈川県の8店舗での実証試験を経て、カーペット、敷ふとんの全国・全店舗での回収~再資源化への仕組みづくりが出来るようになりました。

◈3社協業による再資源化実証実験の工程は次の通り・・・

①回収工程・ニトリ ⇒ ②中間処理工程・タケエイ ⇒ ③再資源化工程・住友大阪セメント

回収工程では・・・ニトリの神奈川県の実証店舗8店舗にて、2022,12,12より~2023,1,8において、お客様が不要になったカーペット、敷ふとんを店頭または配送時に無料で回収。

中間処理工程では・・・(株)タケエイにて、回収されたカーペット、敷ふとんをセメント材料として使える状態に破砕処理する。(株式会社タケエイ:本社は東京港区 再資源化事業、資源リサイクル事業等に携わる企業として、地球の環境保全と環境負荷低減を推進)

再資源化工程では・・・住友大阪セメント(株)にて中間処理工程で破砕された材料をセメント製造における1,450℃の焼成工程の熱エネルギーとして利用。発生した灰部分はセメント原料として再利用。

◈ニトリの製造から~販売までSPAとしての強みをいかした環境負荷軽減への取り組みは・・・

「カーペット・敷ふとん」は消費者が処分に困る製品の第1位、第2位にランクインされるとのことであり、消費者の不平、不満、要望等に真摯に耳を傾け、応えていくという取り組みは『消費者と共創・協働して社会価値を向上させる経営』そのものであり、ニトリでの買い物が環境負荷軽減につながるという、お客様にとってわかりやすい、川上から川中~川下までのものづくりの仕組みづくりをめざすものとして注視していく必要があります。

◈現行のカーテンやロールスクリーン等の窓回り商品においても・・・

窓回り商品においても、産業廃棄物としての埋め立てや単純焼却処分という現実から、廃棄物の排出自体を減らす取り組みや、再資源化を考慮した分別化しやすい「ものづくり」は、サステナブル志向社会における企業の責任であり、時代の要請であります。

            ーーーインテリア技術開発研究所「BLOG・インテリア余話」よりーーー