月: 2023年8月

多様化するニーズと窓回り商品(Series-2)・・・窓回り商品の用語の整理と呼称統一問題等

近年は複合機能型商品や電動商品が好評、好調との声が届いております。多様化する住環境やニーズの中で、業界全体に広く認知され、愛される商品として、更なる市場創造・需要拡大を図っていくためには、これら商品をはじめとして、窓回り商品等の用語の整理と呼称の統一が必要ではないかと考えられます。

1,市場創造・需要拡大に向けてー用語の整理と呼称の統一へ・・・

1)近年の窓回り商品の呼称の実態と統一に向けて・・・

①近年好調な「調光ロールスクリーン」は調光式ロールスクリーンとも呼ばれ、「パネルスクリーン」はパネルカーテン、パネルトラック、パネルスライドシステムなどと呼ばれています。

②近年好評なカーテン+バーチカルブラインドと一台で二つの機能を兼ね備えた「調光スタイルカーテン、又は調光開閉式カーテン」はスマートドレープシェード、スマートカーテン、バーチカルシェードと各社各様のネーミングで発売されています。同じような商品でバックレーススタイルという商品があります。カーテンと捉えるか、タテ型ブラインドとして捉えるか、各社の思惑や商品政策上のこともありましょうが、調光スタイルカーテン、調光開閉式カーテンは当研究所による仮の呼称です。

カーテンの美しさとバーチカルブラインドの調光・開閉機能を兼ね備えた「調光スタイルカーテン、調光開閉式カーテン」は、窓辺をよりシンプルに、スマートに装う窓回り商品として今後広がりを見せていくものと期待され、業界全体に広く認知され、消費者の皆さんに愛される窓回り商品として、更なる市場創造・需要拡大を図っていくためにも、用語の整理と呼称の統一を期待したいところです。

今後はカーテン、ローマンシェード、プリーツスクリーン等の他の窓回り商品にもハイブリット型の複合機能を兼ね備えた」商品開発、技術開発が進むものと考えられます。

③電動窓回り商品は・・・将来的にはスマートハウス化、スマートホーム化のカテゴリーに組み込まれていくのではないかと考えられ、IoTの一般化に伴い、多くの製品に「スマート」という呼称が使われるようになり、

「スマート○○○」という呼称は「高度な情報処理機能を供えた製品、システム」等のイメージがあり、従来からの電動カーテン、電動ブラインドという呼称も、HEMSに対応した製品・システムの更なる充実等により、将来的には時代に応じた呼称の見直しや用語の整理・統一が必要になってくるかも知れません。

既にタチカワブラインドは「スマートインテリアシェード」という呼称で商標登録を完了し、スマートで便利な暮らし提案を前面に打ち出しています。又、「スマートインテリア」はパナソニックホームズ(株)にて、既に商標登録済み(第35類他)となっており、今後マスメディア等を通じて「スマートインテリア」という呼称が広く使われ、一般化し、浸透していくものと考えられます。

④近年ベネシャンブラインドの呼称は・・・カタログ上からも使われなくなり、大手ブラインドメーカーの商品カテゴリー上の区分では、ブラインドは「ヨコ型ブラインド」「タテ型ブラインド」と整理統合され、わかりやすくなっており、業界全体がこの方向でまとまっていきたいものです。

⑤カーテン、シェード、スクリーン、ブラインドの区分も・・・各社各様のところがり、業界として今一度用語の整理・確認が必要かと考えられます。

◈◈◈呼称は各社各メーカーのこだわりや独自性、戦略にもとづくものであり、用語の整理や呼称の統一は難しいところがありますが、業界全体が共通の商品呼称のもとで、市場創造・需要拡大を図っていくためにも、時々に応じた呼称の統一や用語の整理・統合が必要ではではないかと考えられます。◈◈◈

2)参考;ロマンシェードの用語整理と呼称統一の事例として・・・

ローマンシェードが上市され~導入発展期である1980年代後半には、カーテンメーカーを始めとして各社から様々な呼称、スタイル名で発売されるようになり市場は混乱していました。

◈当時市場に出回っていた呼称・スタイル名は・・・

『商品呼称はローマンシェード;ローマンカーテン;カスケード;たくしあげカーテンと各社各様の呼び方であり、スタイル名はプレーン/ナチュラル、;シャープ/セパレート;オーストリアン/カスケード/チリチリカーテンなどなど・・・』

呼称とスタイル名が各社各様であり、NIFで「呼称統一委員会」が編成され、整理統一作業に携わりましたが、各社それぞれの思惑の中で調整等に難航いたしましたが、自社の都合に留まることなく、業界全体として認知度を上げ、市場創造・需要拡大を図っていくことが重要・・・との共通認識のもとに、呼称統一の運びとなりました。

各社印刷物の修正・変更が伴いましたが、商品の導入・発展期だからこそ用語の整理と呼称の統一が出来たものといえます。ロールスクリーンも当時はロールブラインドとも呼ばれており、ロールスクリーンへ呼称統一を図ることになりました。

又、当時、メカモノは国内では知らない人が大半で、認知度も低いこともあり、上記ローマンシェードの呼称やスタイル名、ロールスクリーンの呼称が、ある企業より商標出願されていることが判明し、特許庁への審判請求、情報、資料の提供等の結果、商標登録されることなく、広く皆様方から愛される呼称として・・・今日に至っております。

ローマンシェードの呼称統一問題を参考事例として、窓回り商品等の用語の整理や呼称の統一に関しては、先ずは業界全体としてのまとめ役や調整機関の設定が求められるところであり、期待したいところです。

***「BLOG・インテリア余話」インテリア技術開発研究所***      

     

  

多様化するニーズと窓回り商品(Series-1)・・・窓回り商品の今後の方向性等~

2030年に向けて窓回り商品は大きな転換点(年)へ・・・サステナビリティ経営による持続的な成長戦略が問われる時代へ/窓辺の新しい装い方や新たな機能やスマートな暮らしぶりが求められる時代へ

1,2030年に向けて、室内装飾事業を取り巻く経営環境は・・・

2030年度の新設住宅着工戸数は野村総合研究所、矢野経済研究所の推計予測では74万戸時代へ(2022年度実績は86万戸、2022年度対比で△14%減)、着工戸数の10万戸超の減少は開口部・窓面積の大幅な減少となり、窓回り商品市場への影響は大きく、カーテン等窓回り商品の市場規模縮小やカーテン産地の生産量の落ち込みに直結致します。

2030年は、SDGsの開発目標達成の年であり、ZEH基準が義務化される年であります。メーカーや専門店、内装工事店等の皆様にあっては「サステナビリティ経営を通じた持続的な社会の実現に如何に貢献していくか、・・・環境や社会課題解決に向けての自社の成長戦略をどう展望・展開していくか・・・」が今まで以上に問われる時代になってくるものと考えられます。

窓はアルミ樹脂複合窓や樹脂窓、木製窓による「高断熱窓・遮熱窓」が普及・一般化し、「窓の更なる深化」とともに、窓回り商品市場の大きな転換点(年)となっていくものと想定され、働き方やお家時間の過ごし方など消費者の嗜好や生活様式が様変わりしていく中にあって『窓の新しい装い方や新たな機能やスマートな暮らしぶり』が求められる時代になるものと考えられます。

このような室内装飾事業を取り巻く経営環境の中で、多様化するニーズにどう対応していくか、難しい経営の舵取りが求められることになります。

2、多様化する住環境とニーズの中で、窓回り商品の今後の方向性等・・・

1)窓回り商品のこれからの「ものづくり」は、

商品企画・開発・設計段階から、環境配慮型・資源循環型製品の開発、製造が「ものづくり」の必須要件となり、リユース・リサイクル可能な商品・システムの提供が社会的責任として問われる時代となると考えられます。

YKKapの「成長のための事業戦略」の中では、2024年度には高断熱窓化率(戸建住宅)を90%、サステナブル商品の売上高を39,1%とする等々具体的な目標、数値が示されており、アルミ窓枠材の回収・溶解によるリサイクル事業の構築等具体的な経営目標が発表されております。

室内装飾事業のメーカー各社からも「中期経営計画」が発表されています。メーカーにおける事業戦略の根幹は「ものづくり」にあり、2030年に向けて、カーテン、メカモノは如何なる方向に向かうのか・・・具体的な方針や数値目標、政策課題等を明確にした成長戦略の実現が期待されるところです。

2)2030年に向けてー今後期待される窓回り商品の事例等

高断熱窓や遮熱窓が普及・一般化し、「窓の更なる深化」とともに、窓辺の装い方や機能も変化していくものと考えられ、窓の新しい装い方や新たな機能としては「よりシンプルに、よりスマートな方向」に窓回り商品は向かっていくのではないかと想定されます。

紙面の都合上、「窓回り商品の~これからの10年」については別の機会に取り上げたいと考えておりますが、この章では今後の広がり、需要拡大が期待される次の3つの商品領域について述べてみたいと思います。

◈ハイブリット・複合機能型窓回り商品は更なる市場拡大が期待される商品群である・・・

カーテンの美しさとバーチカルブラインドの調光開閉機能を兼ね備えた仮称「調光スタイルカーテン、又は調光開閉式カーテン」が好評で、窓回りだけでなく、住空間を美しく、スマートに間仕切る商品としても新たな広がりを見せています。スマートドレープシェード、スマートカーテン、バーチカルシェードと各社各様のネーミングで発売されていますが、

多様化するニーズの中で、複合機能型商品は今後が期待される商品群であり、これからはカーテン、ローマンシェード、プリーツスクリーン等においてもハイブリット・複合機能型商品の研究開発が進み、2030年に向けて更なる市場創造・需要拡大が期待される商品群にあげられます。

◈電動窓回り商品は今後の広がり、需要拡大が期待される商品群である・・・

「スマートハウス化・スマートホーム化」の流れの中で,IoTを主軸にした利便性、快適性、安全性など、スマートな暮らしぶりを追求した製品として、HEMSに対応した製品・システムの更なる充実等により、今後の広がり、需要拡大が期待される商品群です。

◈ウエーブスタイルカーテンの需要拡大に向けて・・・

カーテン、カーテンレール市場はこの10年来大きく市場規模を縮小しており、メカモノが大きく市場規模を拡大している中にあって、カーテン市場の立て直し、カーテン産地の活性化等は喫緊の経営課題となっております。

カーテン&カーテンレール市場の活性化・需要拡大策の一つとして、よりシンプルに、よりスマートな窓辺の装いとして、「ウエーブスタイルカーテン」があげられます。

素材の良さやデザインをいかした、シンプルで斬新なスタイルや、奥行き感のある美しいシルエットは、多様化するニーズの中で、今後の広がり、需要拡大が期待される商品であり、「ウエーブスタイルカーテン」という商品呼称で、積極的に市場(前面)に押し出し、需要拡大に向けた啓蒙、販促活動の強化を期待したいところです。

『手引き、コード式、電動、キット販売』と品揃えの充実を図り、ウエーブの山・谷をいかした複合機能の研究やレールメカ部の革新的な機構開発による「新生・窓回り商品」として・・・カーテン&カーテンレール市場の活性化に繋げていきたいものです。

◈◈◈窓回り商品のこれからは・・・サステナビリティ経営戦略にもとづく社会的課題の実現や環境配慮型・資源循環型の商品・サービスの提供が基本となり、従来の枠組みにとらわれない、新しい装い方や新たな機能、スマートな暮らしぶりが求められ時代へ、多様化するニーズ対応型の商品、ソフトの提供が求められる時代へ・・・なっていくものと考えられます◈◈◈

***「BLOG・インテリア余話」インテリア技術開発研究所・情報管理室***