月: 2024年6月

川島織物セルコン・・・オフィス空間を 機能的で美しく・・・ カーテンファブリックで間仕切る『パーティションテキスタイル』を提案  

川島織物セルコンが「オルガテック東京2024」において・・・オフィス空間を豊かな機能性と装飾性を兼ね備えたファブリックで間仕切る「パーティションテキスタイル」を提案、カーテンファブリックスの用途拡大等今後の広がりが期待できる提案です。

1,川島織物セルコンより「パーティションテキスタイル」の提案・・・     

川島織物セルコンが、「オルガテック東京2024」において次のような提案を発表。

『ソーシャルディスタンスとプライバシーの確保への関心が高まる今、柔らかく空間を隔てるファブリックによる間仕切りが注目されています。硬質の素材を用いた間仕切りとは異なり、フレキシブルで有機的な要素のある、機能性と装飾性を兼ね備えた「パーティションテキスタイル」商品を提案します』(川島織物セルコン・プレスリリースより引用・作成)

参考;オルガテック東京2024とは・・・オフイスデザイン専門の見本市、2024年度は5月29日~31日、「デザインの力でワークプレイスの未来を描く」として、東京ビックサイトで開催されました。インテリア業界からはサンゲツ、東リ、住江織物、川島織物セルコンが出展。入場者数は40,631人、前年比155%と年々盛況を来しています。

2,カーテンファブリックスの用途拡大に向けてパーティションテキスタイル

窓まわり商品としてのカーテンは、年々市場規模が縮小する中にあって、この度の川島織物セルコンの「オルガテック東京2024」での提案は「最新のテキスタイルで演出する、楽しく、機能的なオフィス空間」の提案であり、

同社提案の「パーティションテキスタイル」は機能性、装飾性ともに素晴らしく、カーテンファブリックスの新たな用途拡大・需要拡大に向けて、皆で応援していきたいものであり、カーテン市場の更なる活性化へ繋げていきたいものです。

「パーティションテキスタイル」の商品案内では、メカ機構はウエーブスタイルの提案・対応となっておりますが、オフィス空間にはやはり「パネルスクリーン」が欠かせません。パネルスクリーンはカーテンファブリックスの素材感や質感、意匠性等を優雅に引き立てるメカ機構・システムとして、近年はオフィス空間の「まじきり」としての評価も高く、需要が伸びております。オフィス空間をスマートに、優雅に演出する「パネルスクリーン」システムを加えたラインアップを期待したいところです。(商品の案内・詳細等については同社ホームページをご参照下さい。)

パネルスクリーンによるカーテンファブリックスの用途拡大・拡販に向けて

1)空間を優雅に使い勝手良く間仕切る商品として、パネルスクリーンは用途の広い商品です。 

(1)パネルスクリーン(パネルカーテン)は、・・・窓まわり商品だけでなく、室内やオフィス空間をおしゃれに、使い勝手良く仕切ることが出来る「まじきり」として、窓回り商品の中でも洗練された、活用範囲の広い商品です。

カーテンの市場規模は年々縮小傾向にあり、NIFの「市場規模の策定、日本カーテン協会調べ」によると、国内カーテンの生産量は2022年度で72,497千㎡、前年比▲6,7%減、5年前の2018年度対比では▲20,1%減、この5年間で実に▲18,208千㎡の生産量の落ち込みとなっており、カーテン産地への影響は大きく、カーテン市場縮小への歯止め対策は喫緊の課題であり、パネルスクリーンによる間仕切り需要の喚起・拡大による、カーテンファブリッススの用途拡大・使用量拡大が期待されるところです。

(2)パネルスクリーンの使用事例としては、・・・①窓まわり商品として、②部屋のレイアウトの変更等室内空間のおしゃれな間仕切りとして、③クローゼットや押し入れのおしゃれなドアー替りとして、④お部屋のタペストリーとして、⑤オフィス空間における間仕切りや会議スペース、くつろぎ空間づくりに・・・などなど用途の広い、最適な商品です。 

2)パネルスクリーンは専門店や内装店・IC・窓装飾プランナーの皆様の腕の見せどころです

パネルスクリーンはテキスタイルの美しさや質感表現に優れた商品であり、色柄や素材や透け感はどうするなどなど、カーテンファブリックスから自由に選ぶことができるのが大きな特長であり、カーテン地の使用量・消費拡大に大きく貢献することが期待される商材です。

カーテン地の選定に当ってはパネルスクリーン特有の外観特性上の問題や裁断縫製上の注意事項も多く、難易度の高い商品であり、専門的知識や技能が求められます。パネル幅やたたみ代はどうする?、チャンネル数は?、レール延長時の収まりは?等々用途や取付場所に応じた最適の「しつらえ」が求められ、パネルスクリーンは皆様方のセンスと腕の見せどころです。

3)パネルスクリーンの良さをもっと知ってもらうために・・・

当研究所ではこれまで再三にわたり、パネルスクリーンの良さを説き、需要喚起・拡大を提案してきております。イタリアなど南欧では、窓まわり商品の半数はパネルスクリーンが使用されています。日本国内においては、これまで積極的な仕掛けや市場創造活動が見られなかったこともあり、需要の広がりを欠き、今日における市場低迷の要因の一つと考えられ、本来なら他のメカモノ同様に、30~40億円市場を形成して然るべき商品であると考えられます。

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この度の川島織物セルコンによる、オフィス空間における「パーティションテキスタイル」の提案を契機として、ウエーブスタイルやパネルスクリーンによる、カーテンファブリックスの用途拡大・市場拡大を期待したいところです。

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【研究機関発表】 新設住宅着工戸数の 2024年度 2025年度予測と窓まわり商品市場 

各研究機関より、室内装飾事業における重要な経営指標である新設住宅着工戸数の2024年度・2025年度予測が発表になりました

1,研究機関発表の2024年度・2025年度住宅着工数予測、(%)は前年度比増減、単位・万戸    

2022年度実績   2023年度実績  2024年度予測   2025年度予測   
三菱総合研究所    86,1(▲0,6%)80,0
(▲7,1%) 
77,8(▲2,7%)77,2(▲0,8%)
三井住友信託銀行     86,1(▲0,6%)80,0(▲7,1%)78,2
(▲2,2%)
76,0(▲2,8%)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング     86,1(▲0,6%)80,0(▲7,1%)80,5
(0,6%)
80,2(▲0,4%)
みずほリサーチ&テクノロジーズ          86,1(▲0,6%)80,0(▲7,1%)81,8
(2,3%)
81,4(▲0,5%)
ニッセイ基礎研究所 86,1(▲0,6%)80,0(▲7,1%)80,0
(0,0%)
79,4(▲0,7%)

2,研究機関発表の新設住宅市場の概況と将来展望等・・・

先行きの景気見通しについては・・・三菱総合研究所の2024年5月発表の「日本経済の展望」によると、想定以上の円安進行や原油価格上昇が下振れ要因となる恐れがあるとされ、円安・原油高が一段と進行すれば個人消費の回復が腰折れする懸念があるとの見立てとなっております。

住宅着工の見通しについては・・・三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2024年5月発表の「2024~2025年度経済見通し」によると、建設資材価格は上昇に歯止めが掛かってはいるが、労務単価の上昇等で建設コストは高止まりしており、住宅着工は低調な状況が続くとの見通しです。

各研究機関発表の新設住宅着工予測は・・・上表の通り、2024年度は77,8万戸(前年比2,7%減)から~81,8万戸(前年比2,3%増)間で推移すると予測されており、2025年度は76,0万戸から~81,4万戸と予測されています。 

中・長期的には人口減少、世帯数の減少等により、2020年代の80万戸台から~2030年代は70万戸、2040年代には60万戸台まで減少していくと予測されており、新設住宅の減少は開口部・窓面積の減少となり、カーテン等窓まわり商品の取り付け需要の大幅な減少となり、カーテン産地の生産量の落込みに直結します。

3,リフォーム・リノベーション住宅市場への参入強化へ・・・

新設住宅市場が長期的に縮小傾向にある一方で、住宅流通に占める既存住宅の割合が年々高まっており、今後は既存住宅への需要の高まりが期待されています。若年層を中心に新築へのあこがれ感が薄れてきており、新築住宅と比べて既存住宅は価格的な割安感が強く、立地条件面でも優れており、リフォーム・リノベーション需要は堅調に推移していくものと見込まれています。

室内装飾事業においては・・・これまでの新築需要依存の経営から、成長と安定性が見込めるリフォーム・リノベーション住宅市場への参入強化等が今後ますます重要になってくるものと考えられます。

多様化する顧客ニーズに寄り添った、リフォームによる新たな窓の装い方や電動カーテン等窓辺の電動化によるスマートな暮らしぶり提案など・・・商品・サービス・情報等の提供・提案が求められるところです。

■■■出所:各研究機関より・2024年5月~6月10日にかけて発表■■■ 

・三菱総合研究所「日本経済の展望」 ・三井住友信託銀行「2023・2024年度日本経済見通し」 ・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2024~2025年度経済見通し」 ・みずほリサーチ&テクノロジーズ「内外経済見通し」 ・ニッセイ基礎研究所「2024年度・2025年度日本経済見通し」より引用・作成。

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『先進的窓リノベ事業』 内窓設置・窓のリフォームに人気が集中 売上増へ・・・窓まわり商品の買い換え需要・拡販の好機!   

国の「先進的窓リノベ事業」の後押しもあり、窓の省エネ・リフォーム事業が好調で、2023年度は特に内窓設置のリフォームに人気が殺到し、一時はサッシメーカーの生産キャパを越え、大幅な納期遅延となるなど市場は混乱いたしました。2024年度は補助金が1,350億円に増額され、前年度以上に内窓設置に人気が集中し、窓のリフォーム・断熱化が一段と普及・拡大していくものと予測され、窓まわり商品の需要拡大の好機です。

1、内窓設置の窓のリフォーム事業が好調、生産・売上が過去最高に・・・   

1)LIXILの2024年3月期決算の商品別売上高は、住宅サッシが国の補助金事業の追い風を受け、リフォーム用内窓の販売が大きく伸びたことにより、前年比18,7%増と大幅な伸びとなりました。2025年3月期に向けても、窓リノベ関連の売上は60%増を予測、前年以上の需要を見込んでいるということです。

2)YKK APでは、省エネ改修需要の高まりや補助金効果等により、内窓を中心としたリフォーム商品の売り上げが好調で、特に2023年度は内窓設置に人気が集中し、大幅な納期遅延が発生するなど、一時期生産が追いつかず生産ラインの増設等に追われましたが、2024年3月期決算の売上高は前年比6,1%増、営業利益は前年比82,2%増の増収増益となっております。次年度も内窓等リフォーム商品の需要増が見込まれ、2025年3月期の業績予想では売上高6,6%増を見込んでいるということです。

2、「先進的窓リノベ2024事業」の補助金申請状況等・・・

2024年6月9日時点での、2024年度の補助金申請額は予算比11%の申請状況となっております。2023年度に引き続き、国交省・経産省・環境省による「「住宅省エネキャンペーン」の一環として、2024年度は補助金が1350億円に増額されており、前年度以上の内窓設置等窓のリフォーム増が見込まれ、窓の省エネ・断熱化が一層進むものと予測されます。

3、「窓・サッシの改良等」省エネ性能向上へのリフォーム需要が上昇・・・

(一社)住宅リフォーム推進協議会の「2023年度住宅リフォーム消費者実態調査報告」によると、若年層を中心に窓の省エネ・リフォームへの関心・需要が高まっております。

リフォームで重視することは・・・近年は省エネ性能を高める割合が上昇、特に20代~40代では「省エネ性能の向上」を重視する割合が高く、50代以上では設備の更新・修繕等、設備の使い勝手が良くなることの割合が高い調査結果となっております。

リフォーム工事の内容では・・・従来からトイレや浴室のリフォーム割合が高いものの、20代~40代では「窓・サッシの改良」割合が高い調査結果となっており、20代~50代世代を中心に「住宅の省エネ・窓の省エネ」に対する関心が高まっております。

リフォームの情報源は・・・20代~50代では「インターネット」の利用が多く、60代以上では「以前からの工事依頼業者」となっております。若年層を中心にインターネットを利用して情報検索するユーザーが増えており、ビジネスチャンスの拡大に向けては、webサイトの活用による自社・自店の特長や商品・サービス等の情報発信力の強化が今後ますます重要になってくるものと考えられます。

リフォームにかけた費用では・・・50代以上は平均で282万円、20代~40代では443万円と若年層の方がリフォームに費用をかけている調査結果となっております。

(出所:一般社団法人・住宅リフォーム推進協議会の「2023年度住宅リフォーム消費者実態調査報告」より引用作成)

3)窓のリフォーム、断熱化と窓回り商品による新たな装い提案・暮らしぶり提案へ・・・ 

内窓設置等窓のリフォーム化やアルミ樹脂複合窓や樹脂窓・木製窓など、断熱窓の普及・拡大とともに、室内環境は大幅に改善され、働き方改革やお家時間の過ごし方など、消費者の嗜好や生活様式は様変わりし、新たな暮らしぶりが求められる時代になっていくものと考えられます。

窓まわり商品も新しい装い方や機能が求められるようになり、窓辺は大きく様変わりしていくものと考えられ、人と環境にやさしいサステナブル商品の提供や窓辺の電動化によるスマートな暮らしぶりなど、消費者の嗜好や生活様式の変化に寄り添った提案力、情報発信力の強化が・・・これからの事業拡大の「Key-Point」となりそうです。   

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海外生産・調達企業の「仕入単価DI」が上昇・収益力の悪化へ  - – – 生産・調達拠点の再構築に向けて – – -    

円安・ドル高や輸送費増により、企業の原材料・商品の仕入単価の変化を示す「仕入単価DI・Diffusion Index」が海外生産・調達企業において高くなっており、収益力悪化の要因となっております。原材料・商品の安定的調達難や輸入コストの増大から、生産・調達拠点を海外に移した企業の国内回帰・国産回帰が増えており、特に中国からの生産拠点の移転が増えております。

1)原材料・商品の輸入コストの増大等による収益力の悪化・・・   

円安や地政学的リスクの高まり等を背景に、海外からの安定的な原材料・商品等の調達に支障が出たり、円安による輸入コストの増大や輸送費増による売上原価率の悪化等、収益力の改善・収益基盤の強化が喫緊の経営課題となっております。  

2022年より円安・ドル高傾向が続いており、2024年1月~5月の月中平均為替相場は1ドル=151,03円を記録し、5月の月中平均は156,22円の歴史的円安となり、円安・ドル高の流れに歯止めがかかっておりません。(下表参考資料①を参照)

独立行政法人・中小企業基盤整備機構による「仕入単価DI・2024年3月29日調査」によれば、建設業で74,0%、製造業で67,8%となっており、円安による原材料価格の高騰、仕入価格の高止まりが続いております。特に海外生産・調達企業においては、円安による輸入コストの増大や輸送費増の影響が大きく、収益力悪化の要因となっております。(下表参考資料③を参照) 

日本インテリア協会の「市場規模の策定」調査によると、2022年度の輸入カーテンは535億円、構成比で52,6%となっており、財務省貿易統計によると、輸入カーテンの約70%が中国からの輸入となっており、円安による輸入コストの増大や輸送費の上昇等による収益力の悪化等、企業業績への影響が大きいものと考えられます。(下表参考資料②を参照)

2)「国内回帰・国産回帰」海外の生産・調達拠点の見直し・再構築へ・・・

(株)帝国データバンクによれば、海外の生産・調達拠点を国内へ回帰、国内生産へ変更した企業が増えており、特には「建設」、「繊維・繊維製品」で割合が高くなっております。安定的な調達の難しさや輸入価格・輸送費の上昇等により、今後も「国内回帰・国産回帰」を検討・実施する企業が増えてくるものと想定されます。

2030年に向けて、室内装飾事業を取り巻く経営環境は一段と厳しくなり、カーテン等窓回り商品市場の縮小等が予測される中で、高度技術化や高度デザイン化、他品種小ロットや短納期対応等々、多様化するニーズにどう応えていくか・・・海外生産・調達のあり方を今一度見直して、国内生産・国産回帰のあり方を再構築するときではなかろうかと考えられます。

海外生産・調達はこれまでの「コストパフォーマンス」から・・・「消費地生産」へと軸足を移し、海外市場に目を向けた海外移転が中心になっていくのではと予測されます。

参考資料① 2000年~2024年・USドル/円の為替レートの推移 

◈出所:年間為替レート、IMF Data等より引用・作成。*2024年は1月~5月の月中平均。

2000年2005年2010年2015年2020年2021年2022年2023年*2024年
ドル/円107,77110,2287,78121,04106,77109,75131,50140,49151,03

参考資料② カーテンの市場規模・輸入カーテンの推移(単位・億円) 

◈出所:日本インテリア協会「市場規模の策定」より引用・作成。( )内%は構成比、単位は億円。

2010年度2015年度2018年度2020年度2021年度2022年度
輸入品222(20,1%)272(24,1%)502(47,8%)502(50,4%)475(49,3%)535(52,6%)
国産品884(79,9%)855(75,9%)549(52,2%)494(49,6%)489(51,7%)483(47,4%)

参考資料③ 復航(中国⇒日本コンテナ運賃の推移(年平均、単位はUSドル) 

◈出所:日本海事センター・企画研究部「復航(中国⇒日本)コンテナ貨物の荷動きの動向」より引用・作成。

上海⇒横浜2020年(前年比)2021年(前年比)2022年(前年比)2023年(前年比)
20ftコンテナ713(111,6%)993(139,3%)1,080(108,8%)791(73,2%)
40ftコンテナ1,100(107,7%)1,628(148,0%)1,868(114,7%)1,329(71,1%)

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