月: 2024年7月

窓の断熱改修が増加・・・機能性と装飾性に優れた窓まわり商品をパッケージで提案 ビジネスチャンスの拡大へ 

年々省エネへの関心が高まり、政府の「先進的窓リノベ2024事業」の後押しもあり、これまでの断熱性能に劣る単板ガラスの窓を、断熱性に優れた内窓設置や外窓交換による、窓の断熱改修が増加しております。

1,窓の脱アルミ化が進み、アルミ樹脂複合窓や樹脂窓が一般的に;従来型窓は内窓設置や外窓交換による窓の断熱改修が増加。

1)最近の住宅の窓は・・・断熱性能に優れた複層ガラスやLow-E複層ガラスが一般的になり、サッシ部は脱アルミ化が進み、断熱性能に優れたアルミ樹脂複合サッシや樹脂性窓が一般的になっております。

一般社団法人・日本サッシ協会の『2024年3月版住宅用建材使用状況調査』によると、戸建て住宅の窓のアルミ化率は全国で66,7%と減少し、樹脂性窓は33,2%増加しているということであり、

YKK AP(株)の第6次中期計画では戸建て住宅向けの高断熱窓化率を2024年度は90%、樹脂窓化率は40%を目標とするとなっており、今後ますます窓の断熱化が進み、窓は深化していくものと考えられます。

2)従来型の窓は・・・断熱性能に劣る単板ガラスにアルミサッシを使ったものが一般的でしたが、省エネへの関心が高まり、政府の「先進的窓リノベ2024事業」の補助金利用による、断熱効果に優れた内窓設置や外窓交換への改修、リフォームが増えています。 

2,「先進的窓リノベ2024事業」の補助金申請状況は

政府発表によると、7月30日時点での申請状況は22%となっており、2024年4月~6月の交付申請戸数は7万5,249戸、交付申請金額は196億298万となっております。

前年度は当事業の初年度ということもあり、申請が集中し、LIXIL,YKK APなどサッシメーカーでは生産が追いつかず、大幅な納期遅延が発生するなど市場は混乱しましたが、2024年度は補助金が1,350億円に増額されたこともあり、又、メーカーでの生産キャパの増強等により、大きな混乱もなく推移しております。

3、窓の断熱改修は窓まわり商品の買替え需要の好機です

窓の断熱改修の機会を捉え、事業者登録により、内窓設置と窓まわり商品をパッケージで薦めていく、又は、事業者登録が無理とするなら、地域々の事業者登録企業とコラボして、機能性と装飾性に優れた窓まわり商品の提案による買替え需要の喚起・拡大を図っていくなど、政府による「先進的窓リノベ2024事業」の補助金制度を最大限活用し、ビジネスチャンスの拡大に繋げていただきたいものです。

***「BLOG・インテリア余話」インテリア技術開発研究所***

ニトリのカーテン回収事業等 窓まわり商品の回収~リサイクルの実態と社会課題の共有化に向けて【加筆・改訂版】 

ニトリグループによる使用済みカーテンの回収事業が、この2年間で、累計重量で1,170トン、全国各店舗に持ち込まれたお客様は31万8,000人となりました」・・・このニュースを先の7月1日付の[BLOG・インテリア余話」で投稿・公開したところ、大変多くの皆様方が関心を寄せられました。これら関心・意識の高さを受けて、改めて、現行窓まわり商品が抱える社会的課題について提案させていただきます。

 先の消費者長官伊藤明子氏、および 現長官の新井ゆたか氏によると、

1)『SDGsの達成に向けてはエシカル消費(つかう責任)と消費者志向経営(つくる責任)を車の両輪として推進することが重要である』と説いておられます。

2)『消費者志向経営とは消費者と共創・協働し、商品・サービスの改善等を通じて、消費者の行動変容を促し、社会価値向上をめざす経営である』と説いておられます。

1,ニトリグループによる使用済みカーテンの回収累計重量が1,170トンに達しました

1)地域々のお客様(消費者)と共に・・・2022年度から~2023年度の2年間で、ニトリグループ全店舗に持ち込まれた使用済みカーテンが累計重量で1,170トンとなり、持ち込まれたカーテンの平均目付重量を仮に200g/㎡とすると、1,170トンは585万㎡相当となります。回収に参加されたお客様は実に31万8,000人となり、この数字は中核都市の全人口に匹敵する数字となります。

2)SPA・製造小売業の強みをいかした全国規模でのカーテン回収事業の展開へ・・・ニトリグループにおいては、地域々のお客様(消費者)と共に、SPA:製造物流工売業の強みをいかした地域密着・顧客直結型の使用済みカーテンの回収~リサイクル事業が全国規模での広がりをみせており、2030年のSDGs開発目標に向けて、更に大きな実績を積み上げていくものと想定されます。オーダーカーテン市場においても、使用済みカーテンの回収~リサイクルシステムの構築が急がれるところです。

2,カーテン等窓まわり商品の回収~リサイクルの実態(各社統合報告書等より引用作成)

1)カーテンについては・・・サンゲツ、東リ、川島織物セルコンにおいて、自社カーテンのリサイクルラベルラベルが添付されているカーテンについてのみ回収~リサイクルの対象となっております。

  リサイクル区分 回収の概況等                                   回収数量等                    
サンゲツ            ケミカル
   マテリアル
   サーマル                
サンゲツカーテン・エコプロジェクト。「サンゲツカーテン・リサイクルシステムのタグラベルが付いているカーテンが対象       ・累計実績
(2023年9月時点)
 ケミカル 3,505㎏
 マテリアル1,500㎏
 サーマル 14,695㎏
東リ   ケミカル
   マテリアル
広域認定にもとづくリサイクルの実施。リサイクル専用ラベルが付いているカーテンが対象(家庭用除く)リサイクル材料によるAJフックの製品化回収数量等の具体的情報開示なし
川島織物セルコン   ケミカル
   マテリアル
広域認定の取得「川島織物リサイクルカーテンマーク」を付けた不要になったカーテンが対象。新日本製鉄との連携によるリサイクルシステムの導入回収数料等の具体的情報開示なし


ニトリグループ   マテリアル
   *リユース
全国・全店舗で使用済みカーテンを常時受付中。自動車の断熱材「フエルト」へのリサイクル。リユースでは東南アジアでのリサイクルショップでの製品&生地でのリユース*累計実績
 2022年度~2023年度 回収されたカーテンの累計重量1,170トン、
参加客数31万8,000人

2)ブラインド、ロールロールスクリーン、カーテンレール類については・・・各メーカーからの回収~リサイクルの実態報告、情報開示はなく、現状は単純焼却・埋立処分が全てと想定されます。

3,資源循環型社会の実現に向けて-WT業界全体での社会課題の共有化をー

NIFの「市場規模の策定」によると、2022年度の窓まわり商品の市場規模は、カーテン1,019億円、ブラインド類305億円、スクリーン類358億円、カーテーレール類219億円・・・合計1,091億円相当量の使用済みカーテン、ブラインド類等が回収~リサイクルされることなく単純焼却、埋立処分となっているものと想定され、大量の資源の損失となっております。

オーダーカーテンの一部においては自社ブランドの「リサイクルラベル」がついているカーテンについてのみ、回収リサイクルの対象となってはいますが、全体量から見ると回収カバー率は低く、大半の使用済みカーテンは単純焼却・埋立処分となっており、ブラインド、スクリーン類についてはほぼ全量が埋立処分となっております。

サッシ、床材、カーペット業界においては、回収・リサイクル事業への取組みを業界全体で推し進めていこうした動きになっておりますが、残念ながら、カーテン・ブラインド業界からは回収・リサイクルシステムの構築等業界全体で取り組んでいこうとする声はどこからも聞こえてきません。

【本事業はメーカー単独では限界があり、先ずはカーテン、ブラインド、スクリーン類等の産業廃棄物の実態調査から着手し、社会課題解決に向けての問題点を整理し、課題の共有化を図っていくと共に、WT業界全体としての取り組みに押し上げていくことであり、WT商品における資源循環型社会への貢献はサステナブル社会の時代の要請でもあります】

***「BLOG・インテリア余話」インテリア技術開発研究所***

【野村総合研究所】2024年度の 新設住宅着工戸数は 82万戸、2030年度は77万戸、2040年度は58万戸まで減少・・・と発表

野村総合研究所より、2024年度~2040年度の新設住宅着工戸数の短・中期予測が発表になりました。2023年度の80万戸から、2024年度は82万戸、2030年度には77万戸、2040年度には58万戸と減少していく見込みです。

1,2023~2040年度の新設住宅着工戸数の予測(単位:万戸) 

野村総合研究所より『2024~2040年度の新設住宅着工戸数」の推計・予測が発表になりました。 

2022年度実績2023年度実績  2024年度 2030年度 2040年度
野村総合研究所  86   80   *82   77  58

野村総合研究所の発表によると・・・新設住宅着工戸数は2024年度は*82万戸(工事原価高騰の影響が続いた場合、工事原価の高騰が2024年度は継続しない場合は86万戸と予測)、2030年度には77万戸、2040年度には58万戸まで減少する見込みであるという予測になっております。

*先に発表の研究機関の予測は下表の通り(単位;万戸)・・・

2022年度実績 2023年 度実績 2024年度 2025年度
三菱総合研究所 86 80 78 77
三井住友信託銀行 86 80 78 76
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 86 80 81 80

新築住宅市場の減少は開口部・窓面積の大幅な減少となり、カーテン等窓まわり商品の販売量、カーテン産地の生産量への大幅な落ち込みに直結いたします。

今年度になって各社から中期経営計画・中期ビジョンが発表になりましたが、経営計画の根幹となる「カーテンをはじめとする窓まわり商品市場の中・長期をどう展望し、方向づけしていくのか・・・」等々に関しては、各社計画の中では明らかになっておりませんが、

新築住宅市場70万戸時代に向けて、窓まわり商品市場のこれからをどう方向づけし、政策展開を図っていくのか・・・中期に向けての重要な経営課題であり、取組みが問われるところです。

***インテリア技術開発研究所・「BLOG・インテリア余話」***